CULTURE
ヤン・チヒョルトの名言「良いタイポグラフィは、活字そのものよりも…」【本と名言365】
April 24, 2024 | Culture, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Kentaro Wada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。20世紀のタイポグラフィ・デザインの巨匠、ヤン・チヒョルト。さまざまなフォントデザインを手がけながら、現在のタイポグラフィの基礎をつくりあげたチヒョルトが考える「良い文字」のあり方とは。
良いタイポグラフィは、活字そのものよりもその使用方法によって決まる。
1902年、ドイツ・ライプツィヒの看板店の長男として生まれたチヒョルト。ライプツィヒ美術書籍工芸アカデミーでタイポグラフィを学んだ後、その類まれなる才能から19歳の若さで同校の講師を務めることになる。同時にフリーランスとしてグラフィック・デザインの仕事も行いながら、26歳の時にフォントや文字組みに関する実践書『Die neue Typographie』(新しいタイポグラフィ)を出版。サンセリフ体以外のフォントを非難し、全印刷物のサイズの統一を主張したラディカルなデザイン思想は、「モダン・タイポグラフィ」としてデザイン界に大きな存在感を示すことになった。
その後、ナチスの支配から逃れるため、チヒョルトはスイスへ移住。それまでの急進的な考えを省みて、古典的なタイポグラフィも受け入れたより柔軟なデザインを志すようになる。しかし、その根底にある「文字をより美しく見せる」という意識は、常に一貫していた。
「タイポグラフィとは読まれるように語を整えることである。語は組む前に理解しなくてはならない。タイポグラファはまず原稿を通して読み、把握しなくてはならない。……良いタイポグラファは、読者の目にとってテキストを読みやすくするにはどうすればよいのかを知っているものだ」
自身の著書『Typographische Gestaltung』(タイポグラフィの造形)で、こう語ったチヒョルト。文字の美しさとは、その字のデザインだけにあるわけではない。文字が集まって単語になり、最終的に文章となった時に初めて美しいタイポグラフィが生まれる。良い文章をありのままに良く見せることが、チヒョルトにとって真のタイポグラフィ・デザインだったのだ。
1902年、ドイツ・ライプツィヒの看板店の長男として生まれたチヒョルト。ライプツィヒ美術書籍工芸アカデミーでタイポグラフィを学んだ後、その類まれなる才能から19歳の若さで同校の講師を務めることになる。同時にフリーランスとしてグラフィック・デザインの仕事も行いながら、26歳の時にフォントや文字組みに関する実践書『Die neue Typographie』(新しいタイポグラフィ)を出版。サンセリフ体以外のフォントを非難し、全印刷物のサイズの統一を主張したラディカルなデザイン思想は、「モダン・タイポグラフィ」としてデザイン界に大きな存在感を示すことになった。
その後、ナチスの支配から逃れるため、チヒョルトはスイスへ移住。それまでの急進的な考えを省みて、古典的なタイポグラフィも受け入れたより柔軟なデザインを志すようになる。しかし、その根底にある「文字をより美しく見せる」という意識は、常に一貫していた。
「タイポグラフィとは読まれるように語を整えることである。語は組む前に理解しなくてはならない。タイポグラファはまず原稿を通して読み、把握しなくてはならない。……良いタイポグラファは、読者の目にとってテキストを読みやすくするにはどうすればよいのかを知っているものだ」
自身の著書『Typographische Gestaltung』(タイポグラフィの造形)で、こう語ったチヒョルト。文字の美しさとは、その字のデザインだけにあるわけではない。文字が集まって単語になり、最終的に文章となった時に初めて美しいタイポグラフィが生まれる。良い文章をありのままに良く見せることが、チヒョルトにとって真のタイポグラフィ・デザインだったのだ。
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