CULTURE
【本と名言365】安西水丸|「ぼくは美術品よりは、…」
March 28, 2024 | Culture, Art, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Keiko Kamijo illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。スノードームや文房具、民芸品などを独特の線で描く安西水丸。独自の審美眼を持ち、絵にもインテリアにもファッションにもこだわった安西が、常々語っていたこと。
ぼくは美術品よりは、民芸の方がはるかに好きだ。
村上春樹の小説の挿画や数々のイラストレーションで知られ、2014年に急逝したイラストレーターの安西水丸。独特な線で描かれたイラストレーションはあたたかみがありつつも、背景はピシッと一本の線でツートーンに区切られクールな印象を醸す。今年で没後10年を迎え、8月には福井市美術館にて「イラストレーター安西水丸」の全国巡回展が予定されている。安西のノスタルジーとユーモアに溢れたイラストレーションや文章の魅力は今も色褪せない。
子どもの頃から絵を描くのがとにかく好き、それだけは誰にも譲れないと自負していたが、絵の上手さにはまったく固執せず、むしろ上手くなることを徹底的に避けてきた。フォークアートや民藝品、古いものを好み、世界中を旅してスノードームを集め、好きなものに囲まれながら仕事をした安西。
ぼくは美術品よりは、民芸の方がはるかに好きだ。
モノは好きであれやこれやと蒐集するが、誰が作ったかは安西にとって重要なことではない。作品を購入するときに、サインや鑑定書などを捨ててしまうからと言って受け取らないこともしばしばだったという。
その点、フォークアートの画家たちはいい。デッサンなどほとんど気にせず、自分の描き方で好きに描いている。絵とはこんなものではないか。
少年期を明治期に建てられた日本家屋で過ごし、明治生まれの母に育てられた安西少年。幼い頃から一人でいることを好み、周囲からは変わり者と言われつつも、独自の審美眼で日常を見つめ、独特な線とスタイルを持つイラストレーションの世界観を築いていったのだろう。
流行や情報に流されず、幼い頃から好きだったものを大切にし、イラストレーションや文章に何度も登場させ、慈しんだ安西。あたたかみのある線で描かれた、名もなきモノたちは、いつも絵の中で心地良さそうにしている。
村上春樹の小説の挿画や数々のイラストレーションで知られ、2014年に急逝したイラストレーターの安西水丸。独特な線で描かれたイラストレーションはあたたかみがありつつも、背景はピシッと一本の線でツートーンに区切られクールな印象を醸す。今年で没後10年を迎え、8月には福井市美術館にて「イラストレーター安西水丸」の全国巡回展が予定されている。安西のノスタルジーとユーモアに溢れたイラストレーションや文章の魅力は今も色褪せない。
子どもの頃から絵を描くのがとにかく好き、それだけは誰にも譲れないと自負していたが、絵の上手さにはまったく固執せず、むしろ上手くなることを徹底的に避けてきた。フォークアートや民藝品、古いものを好み、世界中を旅してスノードームを集め、好きなものに囲まれながら仕事をした安西。
ぼくは美術品よりは、民芸の方がはるかに好きだ。
モノは好きであれやこれやと蒐集するが、誰が作ったかは安西にとって重要なことではない。作品を購入するときに、サインや鑑定書などを捨ててしまうからと言って受け取らないこともしばしばだったという。
その点、フォークアートの画家たちはいい。デッサンなどほとんど気にせず、自分の描き方で好きに描いている。絵とはこんなものではないか。
少年期を明治期に建てられた日本家屋で過ごし、明治生まれの母に育てられた安西少年。幼い頃から一人でいることを好み、周囲からは変わり者と言われつつも、独自の審美眼で日常を見つめ、独特な線とスタイルを持つイラストレーションの世界観を築いていったのだろう。
流行や情報に流されず、幼い頃から好きだったものを大切にし、イラストレーションや文章に何度も登場させ、慈しんだ安西。あたたかみのある線で描かれた、名もなきモノたちは、いつも絵の中で心地良さそうにしている。
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