CULTURE
【本と名言365】藤子不二雄Ⓐ|「明日にのばせることを今日するな。」
March 5, 2024 | Culture | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Keiko Kamijo editor_ illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。ブラックユーモアで人のココロのスキマを埋める。藤子不二雄Ⓐ の人生哲学とは。
明日にのばせることを今日するな。
『忍者ハットリくん』や『怪物くん』等のギャグ漫画に、社会の闇を描いた『笑ゥせぇるすまん』、そして『ブラック商会変奇郎』『魔太郎がくる!!』など人の心の弱さやダークな側面にスポットを当てた作品を多く描いた藤子不二雄Ⓐ。生涯の相棒であった藤子・F・不二雄(藤本弘)と対比して、黒の藤子と言われることも。
二人の出会いは小学生、10歳の時。漫画が好きだという共通点からすぐに意気投合し、一緒に漫画を描くようになる。新聞や雑誌への投稿を続け、高校3年生で藤子不二雄として漫画家デビューを果たす。1954年に、藤本の呼びかけで上京、トキワ荘暮らしが始まる。そして、二人は子ども向けから大人向けまで数々の漫画を世に送り出す。そして、87年に二人はお互いの道を行くことを決意。翌年から、藤子不二雄Ⓐ として活動するが、「不二」という言葉には二人で一人という意味もあり、二人ともその名を手放すことはなかった。
独立後、藤子不二雄Ⓐ は90年に自身の漫画を原作とした映画「少年時代」でプロデューサーを務め、日本アカデミー賞で最優秀作品賞などを獲得。10年には「怪物くん」がドラマ&映画化。15年に休載した「PARマンの情熱的な日々」が最後の作品となった。
冒頭の言葉は、藤子不二雄Ⓐ の座右の銘である。この言葉を見て、笑顔になり、肩の力がすとんと抜けた人も少なくないだろう。これは様々な国で昔から言われている諺だが、A先生がこの言葉と出会ったのは高岡の映画館であった。『アフリカの女王』を観たとき、ハンフリー・ボガードが敵から追われているにもかかわらず、余裕を見せて言った、このひと言に大きな衝撃を受けたのだ。戦争中は、いつ死ぬかもわからないということから「今日出来ることは今日やるべし」と教育されてきた。しかし、真逆の考え方の言葉と出会い、その後A先生のモットーとなる。独自の超プラス思考だ。
好きな漫画を描き、遊ぶことが大好きで、いろいろな人と付き合い、決して争わない。もちろんその陰では、大量の仕事を〆切厳守でこなしてきた。たった一度だけ、大量の原稿を落として仕事を干されたが、その失敗は二度と繰り返さなかった(このエピソードは『まんが道』に詳しい)。
藤子不二雄Ⓐ は、人間の弱さや欲深さを描き、それをブラックユーモアへと昇華する。暴走する主人公たちを見て読者は他人事とは思えず、思わず笑ってしまうのだ。
『忍者ハットリくん』や『怪物くん』等のギャグ漫画に、社会の闇を描いた『笑ゥせぇるすまん』、そして『ブラック商会変奇郎』『魔太郎がくる!!』など人の心の弱さやダークな側面にスポットを当てた作品を多く描いた藤子不二雄Ⓐ。生涯の相棒であった藤子・F・不二雄(藤本弘)と対比して、黒の藤子と言われることも。
二人の出会いは小学生、10歳の時。漫画が好きだという共通点からすぐに意気投合し、一緒に漫画を描くようになる。新聞や雑誌への投稿を続け、高校3年生で藤子不二雄として漫画家デビューを果たす。1954年に、藤本の呼びかけで上京、トキワ荘暮らしが始まる。そして、二人は子ども向けから大人向けまで数々の漫画を世に送り出す。そして、87年に二人はお互いの道を行くことを決意。翌年から、藤子不二雄Ⓐ として活動するが、「不二」という言葉には二人で一人という意味もあり、二人ともその名を手放すことはなかった。
独立後、藤子不二雄Ⓐ は90年に自身の漫画を原作とした映画「少年時代」でプロデューサーを務め、日本アカデミー賞で最優秀作品賞などを獲得。10年には「怪物くん」がドラマ&映画化。15年に休載した「PARマンの情熱的な日々」が最後の作品となった。
冒頭の言葉は、藤子不二雄Ⓐ の座右の銘である。この言葉を見て、笑顔になり、肩の力がすとんと抜けた人も少なくないだろう。これは様々な国で昔から言われている諺だが、A先生がこの言葉と出会ったのは高岡の映画館であった。『アフリカの女王』を観たとき、ハンフリー・ボガードが敵から追われているにもかかわらず、余裕を見せて言った、このひと言に大きな衝撃を受けたのだ。戦争中は、いつ死ぬかもわからないということから「今日出来ることは今日やるべし」と教育されてきた。しかし、真逆の考え方の言葉と出会い、その後A先生のモットーとなる。独自の超プラス思考だ。
好きな漫画を描き、遊ぶことが大好きで、いろいろな人と付き合い、決して争わない。もちろんその陰では、大量の仕事を〆切厳守でこなしてきた。たった一度だけ、大量の原稿を落として仕事を干されたが、その失敗は二度と繰り返さなかった(このエピソードは『まんが道』に詳しい)。
藤子不二雄Ⓐ は、人間の弱さや欲深さを描き、それをブラックユーモアへと昇華する。暴走する主人公たちを見て読者は他人事とは思えず、思わず笑ってしまうのだ。
Loading...