CULTURE
【本と名言365】安野光雅|「自分の力で発見し、何かを新しく…」
November 26, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Keiko Kamijo illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。「旅の絵本」シリーズや『ABCの本』等、細部まで美しく描かれた絵とそこに潜むユーモアに満ちたたくさんの絵本を世に送り出した絵本作家・安野光雅が説く、自分で考える大切さ。
自分の力で発見し、何かを新しく知ったときは、必ず何らかの驚きがある
緻密に書き込まれた繊細な絵とそこに含まれたユーモアが見る人を魅了する絵本作家の安野光雅。
ヨーロッパの美しい街並みや馬や牛が闊歩する農村の風景、そして人々の営みが精緻に描かれた「旅の絵本」シリーズや、木片をモチーフにしたアルファベットとその対向ページに思わずクスリとするユーモアにあふれた絵が描かれた『ABCの本』、数学の基本となる考え方を「なかまはずれ」「ふしぎなのり」「じゅんばん」にたとえ、小人たちとともに考え方を学ぶ『はじめてであう すうがくの絵本』など、数々の絵本を出版し、子どもたちに考える楽しみを提供する。絵本が好きな人はもちろん、デザイナーなどものづくりをするクリエイターたちに愛されている。
安野の絵本をめくっていると、絵の中に細部にわたって様々な仕掛けが隠されていることに気付く。「旅の絵本」であれば、その土地にゆかりのある偉人や伝説、童話、名画へのオマージュが捧げられていることも。文字もいっさい書かれておらず、答えが示されているわけでもない。幼い頃にわからなかったモチーフが、名画のワンシーンだったりと、大人になってもめくるたびに発見がある。
「自分の力で発見し、何かを新しく知ったときは、必ず何らかの驚きがある」
この言葉は、安野が絵本に込めてきた思いでもあるし、彼が子どもに接する時に心していた考え方でもある。
「発見や創造の喜びをわかち合い、迷路のような所に誘いこんで悔しがらせる、そんなおもしろい本はできないものかと思いながら絵本を作ってきました」
安野は、どの絵本でも常に「自分で考える」ことの楽しさを実践してきたが、本書では「わかりやすさ」「役に立つ」ことが求められる今の時代を憂い、子どもに接するすべての人のために、繰り返し「自分で感じる」こと、そして「自分で考える」ことの大切さを語る。
天気予報では親切に傘を持った方がいい、厚手の上着を着た方がいいとお知らせされる現在は確かに便利な時代かもしれない。しかし、感じること、考えることを人任せにしていないだろうか。胸に手を当てて、安野光雅の絵本を開いてみて欲しい。
緻密に書き込まれた繊細な絵とそこに含まれたユーモアが見る人を魅了する絵本作家の安野光雅。
ヨーロッパの美しい街並みや馬や牛が闊歩する農村の風景、そして人々の営みが精緻に描かれた「旅の絵本」シリーズや、木片をモチーフにしたアルファベットとその対向ページに思わずクスリとするユーモアにあふれた絵が描かれた『ABCの本』、数学の基本となる考え方を「なかまはずれ」「ふしぎなのり」「じゅんばん」にたとえ、小人たちとともに考え方を学ぶ『はじめてであう すうがくの絵本』など、数々の絵本を出版し、子どもたちに考える楽しみを提供する。絵本が好きな人はもちろん、デザイナーなどものづくりをするクリエイターたちに愛されている。
安野の絵本をめくっていると、絵の中に細部にわたって様々な仕掛けが隠されていることに気付く。「旅の絵本」であれば、その土地にゆかりのある偉人や伝説、童話、名画へのオマージュが捧げられていることも。文字もいっさい書かれておらず、答えが示されているわけでもない。幼い頃にわからなかったモチーフが、名画のワンシーンだったりと、大人になってもめくるたびに発見がある。
「自分の力で発見し、何かを新しく知ったときは、必ず何らかの驚きがある」
この言葉は、安野が絵本に込めてきた思いでもあるし、彼が子どもに接する時に心していた考え方でもある。
「発見や創造の喜びをわかち合い、迷路のような所に誘いこんで悔しがらせる、そんなおもしろい本はできないものかと思いながら絵本を作ってきました」
安野は、どの絵本でも常に「自分で考える」ことの楽しさを実践してきたが、本書では「わかりやすさ」「役に立つ」ことが求められる今の時代を憂い、子どもに接するすべての人のために、繰り返し「自分で感じる」こと、そして「自分で考える」ことの大切さを語る。
天気予報では親切に傘を持った方がいい、厚手の上着を着た方がいいとお知らせされる現在は確かに便利な時代かもしれない。しかし、感じること、考えることを人任せにしていないだろうか。胸に手を当てて、安野光雅の絵本を開いてみて欲しい。
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