CULTURE
【本と名言365】チャールズ・イームズ|「いわば30年の…」
September 6, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。20世紀のインダストリアルデザインを牽引したチャールズ&レイ・イームズ夫妻。その代表作であるプライウッドチェアにまつわるインタビューでチャールズが遺した言葉とは。
いわば30年のひらめきです
アメリカのミッドセンチュリーデザインにおけるアイコンがデザイナーのチャールズ&レイ・イームズ夫妻だ。彼らは第二次世界大戦による軍需拡大で開発された素材や加工技術を取り入れながら、新たな生活様式のための新たな家具をデザインしたことで知られる。1945年にプライウッドを用いた家具、1950年にはじめて椅子の量産化にFRPを用いたシェルチェア、1951年にワイヤーメッシュ製のチェアを発表するなど、革新性とデザインを深く結びつけて多くの名作を実現した。
チャールズは、プライウッドを用いた家具開発についてのインタビューで「いわば30年のひらめきです」との言葉を遺している。つまりひらめきは一瞬だが、それを形にするには膨大な時間が要るとチャールズはいう。1939年、チャールズは友人であり建築家のエーロ・サーリネンとともに音楽堂のための椅子をデザインした。これが、彼にとってはじめてデザインした一体成形型の椅子だ。この椅子の単純なカーブを複雑で滑らかなシェルへ発展させた椅子を求め、その試行錯誤が始める。つづく〈オーガニック・チェア〉はニューヨークのMoMAが開催したコンペを勝ち取るが、当時の技術でそれは量産ができなかった。
サーリネンとともに〈オーガニック・チェア〉の実現を目指すなかで、チャールズはレイという新たなパートナーを得る。夫妻は量産へのハードルの高さを学び、戦中戦後の技術革新とともに製造方法を探ることで、実現を見据えたデザインに挑んだ。自らの実践とともに形を探ったイームズ夫妻の冒険は、モダンデザインの礎となった。彼らの仕事は、好奇心と情熱、そして人生を豊かにする楽しさの面から語られることが多い。ただ同時に、その創作が絶え間ない試行錯誤と実験によって支えられたことも忘れてはならない。
アメリカのミッドセンチュリーデザインにおけるアイコンがデザイナーのチャールズ&レイ・イームズ夫妻だ。彼らは第二次世界大戦による軍需拡大で開発された素材や加工技術を取り入れながら、新たな生活様式のための新たな家具をデザインしたことで知られる。1945年にプライウッドを用いた家具、1950年にはじめて椅子の量産化にFRPを用いたシェルチェア、1951年にワイヤーメッシュ製のチェアを発表するなど、革新性とデザインを深く結びつけて多くの名作を実現した。
チャールズは、プライウッドを用いた家具開発についてのインタビューで「いわば30年のひらめきです」との言葉を遺している。つまりひらめきは一瞬だが、それを形にするには膨大な時間が要るとチャールズはいう。1939年、チャールズは友人であり建築家のエーロ・サーリネンとともに音楽堂のための椅子をデザインした。これが、彼にとってはじめてデザインした一体成形型の椅子だ。この椅子の単純なカーブを複雑で滑らかなシェルへ発展させた椅子を求め、その試行錯誤が始める。つづく〈オーガニック・チェア〉はニューヨークのMoMAが開催したコンペを勝ち取るが、当時の技術でそれは量産ができなかった。
サーリネンとともに〈オーガニック・チェア〉の実現を目指すなかで、チャールズはレイという新たなパートナーを得る。夫妻は量産へのハードルの高さを学び、戦中戦後の技術革新とともに製造方法を探ることで、実現を見据えたデザインに挑んだ。自らの実践とともに形を探ったイームズ夫妻の冒険は、モダンデザインの礎となった。彼らの仕事は、好奇心と情熱、そして人生を豊かにする楽しさの面から語られることが多い。ただ同時に、その創作が絶え間ない試行錯誤と実験によって支えられたことも忘れてはならない。
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