CULTURE
磯崎新による伝説の展覧会『間』が“再生”。〈江之浦測候所〉で一日限りの追悼記念公演を開催。
| Culture, Architecture, Art | casabrutus.com | text_Keiko Kusano
1978年、建築家・磯崎新によるキュレーションのもと、パリで行われた伝説の展覧会『MA Space-Time in Japan』(邦題『間-日本の時空間』)が、2023年秋、シルクロードをつなぐイランの各都市にて、新たな解釈のもとで開催されることが決まった。これに先駆けて、5月30日、神奈川県小田原市の〈江之浦測候所〉にて、イランと日本の古楽器奏者による1日限りの演奏会がプレ・イベントとして行われる。
1978年、建築家・磯崎新によるキュレーションにより、パリで3ヶ月にわたって行われた『MA Space-Time in Japan』。同展には、武満徹、倉俣史朗、高松次郎、三宅一生、土方巽、田中泯ら、当時のさまざまな分野の精鋭が参加。“間”という言葉で表現できる日本的な時間や空間の概念を、写真や彫刻、茶室の模型などの展示、舞踏のパフォーマンスなどによって多角的に表現した。日本の文化を世界に知らしめる、非常に画期的なものだった。
同展はニューヨークの〈クーパーヒューイット国立博物館〉をはじめとするアメリカ、北欧の5カ所の美術館を巡回。その後、磯崎はこの「間」プロジェクトを伊勢神宮の式年遷宮になぞらえて「20年に1回のインターバルで再生する出来事」と位置づけ、2000年には〈東京藝術大学大学美術館〉にて『間-20年後の帰還』展を実施した。
2022年末に惜しくも逝去した磯崎だが、次の「再生」の準備も進めていた。氏が70年代に通ったシルクロード諸国で、飛鳥や奈良などの日本の古代文化の基層に深く関わるペルシャ(イラン=中国での呼称は胡)を出発地として、ジョージア(トビリシ)、ウズベキスタン(サマルカンド)、中国(西安)と東に進み、最後は日本にまで至るという壮大な構想だ。このシルクロードの「間」展は、2023年9月初旬からイランのタブリーズを皮切りに、その後、テヘラン、トビリシへと巡回する予定だ。
これに先駆けてイランの音楽家3名が来日し、神奈川県小田原市の〈江之浦測候所〉にて、イランと日本の古楽器奏者による1日限りの演奏会が5月30日に行われる。磯崎新のライフワークとも言うべき「間」プロジェクトの“再生”とともに、同氏追悼の場ともなる。演奏会のチケット収益は『間』シルクロード展の開催のために充てられる予定だ。
これに先駆けてイランの音楽家3名が来日し、神奈川県小田原市の〈江之浦測候所〉にて、イランと日本の古楽器奏者による1日限りの演奏会が5月30日に行われる。磯崎新のライフワークとも言うべき「間」プロジェクトの“再生”とともに、同氏追悼の場ともなる。演奏会のチケット収益は『間』シルクロード展の開催のために充てられる予定だ。
磯崎新 追悼公演「ペルシャと日本の古典音楽にみる『間』の響き」
〈小田原文化財団 江之浦測候所〉神奈川県小田原市江之浦362- 1。2023年5月30日 12時30分〜16時30分(公演時間14時〜15時45分)。※公演前に江之浦測候所内を見学可能。 TEL 0465 42 9170。JR東海道線根府川駅より無料送迎バスを運行(行き:根府川駅発 12時15分〜13時30分の間、帰り:江之浦測候所発 15時45分〜16時30分の間で随時運行)。
一般:税込10,000円、磯崎新の版画付きチケット:税込200,000 円(10 名様限定)、いずれも江之浦測候所入館料を含む。一般チケットの購入は小田原文化財団公式ホームページ見学案内ページ から。磯崎新の版画付きチケットの購入は〈MISA SHIN GALLERY〉(mail:info@misashin.com)までお問い合わせを。
