CULTURE
詩人・谷川俊太郎の「絵本」の仕事に焦点を当てた展覧会が開催中!
May 31, 2023 | Culture, Design | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Hikari Torisawa
認識絵本や写真絵本、ことばあそびにナンセンス。生、死、時間や歴史など、谷川俊太郎が挑み続ける絵本作品は、技法も主題も共作するクリエイターもとにかく多彩。そんな谷川俊太郎の表現に触れ、絵本の世界に遊ぶ『谷川俊太郎 絵本★百貨展』が、東京・立川の〈PLAY! MUSEUM〉で開催中だ。
1952年のデビュー以来、詩作にとどまらずさまざまなジャンルに挑み、言葉を生み出してきた詩人・谷川俊太郎の大きな仕事のひとつに「絵本」がある。1956年には『絵本』と題した写真詩集を自費出版。60年代に入ると画家やイラストレーター、写真家たちとの共作をスタートし、和田誠、粟津潔、堀内誠一、長新太、安野光雅、元永定正、大橋歩、タイガー立石、いせひでこ、大竹伸朗、松本大洋、今村昌昭、沢渡朔など数多くのクリエイターたちと共に、これまで約200もの絵本を世に送り出してきた。
そこから20作ほどが選ばれ紹介されるのが『谷川俊太郎 絵本★百貨展』。建築家、映像作家、アートディレクター、講談師、写真家も参加する展覧会で、谷川さんの絵本作品は、アニメーション、写真、朗読、インスタレーションなどに形を変える。紙という境界を越えて飛び出し、世界と混じり合うかのような作品が〈PLAY! MUSEUM〉に集結した。
展覧会がスタートすると、会場の映像を見た谷川さんから感想が到着した。
「言葉の可能性、文字の広がりを改めて知った。大勢の作り手が広げてくれた、そのことがうれしい。どんなものができるか予想できなかったけど、とても豊かで、感激している。そもそも文というものは原稿しかないし、絵なんかと違って展覧会には合わないもの。これほどまでに、いろんな発想で立体化してくれたのははじめてのこと。展覧会は新しいメディアだと思う。
今回の展覧会は絵本を立体化しているけれども、二次的に発展させていくことは『連詩』みたいだと思った。大勢の作り手たちと新たにコラボレーションして、こうして広がっていくのは、作者としてはとてもうれしい。
そもそも自分が作者だという意識が、あまりない。日本語が主体であり、言語が主人公なんだと、常々そう考えているから。展覧会の様子をみて、日本語が醸し出すイメージや言葉はいくらでも広がっていくんだなと、自分の想像力が広がった」
そこから20作ほどが選ばれ紹介されるのが『谷川俊太郎 絵本★百貨展』。建築家、映像作家、アートディレクター、講談師、写真家も参加する展覧会で、谷川さんの絵本作品は、アニメーション、写真、朗読、インスタレーションなどに形を変える。紙という境界を越えて飛び出し、世界と混じり合うかのような作品が〈PLAY! MUSEUM〉に集結した。
展覧会がスタートすると、会場の映像を見た谷川さんから感想が到着した。
「言葉の可能性、文字の広がりを改めて知った。大勢の作り手が広げてくれた、そのことがうれしい。どんなものができるか予想できなかったけど、とても豊かで、感激している。そもそも文というものは原稿しかないし、絵なんかと違って展覧会には合わないもの。これほどまでに、いろんな発想で立体化してくれたのははじめてのこと。展覧会は新しいメディアだと思う。
今回の展覧会は絵本を立体化しているけれども、二次的に発展させていくことは『連詩』みたいだと思った。大勢の作り手たちと新たにコラボレーションして、こうして広がっていくのは、作者としてはとてもうれしい。
そもそも自分が作者だという意識が、あまりない。日本語が主体であり、言語が主人公なんだと、常々そう考えているから。展覧会の様子をみて、日本語が醸し出すイメージや言葉はいくらでも広がっていくんだなと、自分の想像力が広がった」
展覧会の空間構成を手がけたのは建築家・手塚貴晴だ。入口右側に展示された谷川さんの詩『えほんのくに』を読んだら、いざ展示室へ。入口すぐ最初に設置された、『ことばあそびうた』(瀬川康男・絵)から生まれた作品を目にしたとたん、言葉の音とリズムに心が弾んで、視線は、床から壁へ、前へ、後ろへ、奥につながる空間へと伸びていく。
巨大なコップは、「何でもないものが、いかに不思議で豊かな存在に見えてくるか」(展覧会図録より)という谷川さんの思いを出発点にした写真絵本『こっぷ』(今村昌昭・写真)から。アートディレクター・柿木原政広によるこの2つの作品の間で、映像作家・坂井治による『まるのおうさま』(粟津潔・絵)のアニメーションが空間を鮮やかに色付ける。
巨大なコップは、「何でもないものが、いかに不思議で豊かな存在に見えてくるか」(展覧会図録より)という谷川さんの思いを出発点にした写真絵本『こっぷ』(今村昌昭・写真)から。アートディレクター・柿木原政広によるこの2つの作品の間で、映像作家・坂井治による『まるのおうさま』(粟津潔・絵)のアニメーションが空間を鮮やかに色付ける。
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