ART
ニック・ナイトの日本初個展で、巨匠の美学的余白への探求を垣間見る。
| Art | casabrutus.com | text_Aya Hasegawa
表参道のギャラリー〈The Mass〉にて、ファッション写真家、ニック・ナイトの、日本では初となる個展《Still》が開催中だ。
世界にその名をとどろかす、イギリス人ファッションフォトグラファー、ニック・ナイト。独自の写真スタイルで80年代から有力誌などで作品を発表。以来、40年以上にわたって、世の美的感覚(基準)を問い続けてきた。また、山本耀司、ジョン・ガリアーノ、ガレス・ピュー、アレクサンダー・マックイーンを含む、先進的なデザイナーたちとの画期的かつ創造的なコラボレーションや、〈ディオール〉、〈資生堂〉、〈ナイキ〉などの企業に向けた前衛的な広告キャンペーンにより、ファイン・アートとファッションの分野でその地位を確立している。
photo_Ruth Hogben
商業的な成功を収める一方、ナイトには常に探求し、自身に挑み続けたいという欲求があり、自発する個人的な側面を表す作品も少なくない。開催中の《Still》では、ナイトの絶え間なき美学的余白への探求が顕著に現れた、それぞれ実験的な異なる手法で花や植物の写実を試みた3作品《Flora》、《Roses, Photo paintings》、《Roses from My Garden》を紹介。イギリス国内以外で初めて、これら3作品を同時に扱うのは今回が初めてだ。
《Flora》は、1997年に出版された同名の作品集から、植物による無限の可能性を表現した作品を選別した15枚のポートフォリオを展示。写真とペイントが融合した《Roses, Photo paintings》シリーズは、作品の色滴れを実現するために印刷処理の段階で熱と水が取り入れられたハイブリッドな作品だ。伝統的なガラス乾板での印刷処理に立ち戻った《Roses from My Garden》は、ナイトの国際的デビューを飾ることとなった作品としても知られている。
ナイトの作品は、私たちが見知ったものをまったく新しいかたちで提示する。新たな美の定義と新しいものの見方を発見し、捉えたいと願うナイトの絶え間なき欲求を目撃してみては?
ナイトの作品は、私たちが見知ったものをまったく新しいかたちで提示する。新たな美の定義と新しいものの見方を発見し、捉えたいと願うナイトの絶え間なき欲求を目撃してみては?
