ART
エルヴィン・ヴルムの日本初個展が青森・十和田で開催中。いびつな学校に込めた想いとは?
『カーサ ブルータス』2025年6月号より
| Art | a wall newspaper | photo_Takuya Neda text_Keiko Kamijo
“ボリューム” を操る彫刻家、エルヴィン・ヴルム。日本初個展が青森・十和田市現代美術館で開催中です。
ぽってりと太った姿がユーモラスな《ファット・カー》《ファット・ハウス》でお馴染みの彫刻家エルヴィン・ヴルム。日本初となる美術館個展が青森県の十和田市現代美術館でスタート。2つの作品を設置して以来、15年ぶりの来館となった。
ヴルムの作品は家や車、衣服といった、非常に親しみのある素材を用いて、その質感やボリュームを変化させることで現代的な問題に接近する。それを彼は「彫刻的な問題」だという。
ヴルムの作品は家や車、衣服といった、非常に親しみのある素材を用いて、その質感やボリュームを変化させることで現代的な問題に接近する。それを彼は「彫刻的な問題」だという。
「人はすべて “量” という彫刻的な問題に関わっています。食事や運動量によって体形を変化させたり、貯蓄の増減によって一喜一憂したり。大きくなることは称賛されますが、過度な成長はどうでしょうか? 車を極端に太らせた時、その歪んだフォルムを見てメーカーから嫌われてしまいました。形を歪めることは、既存の価値観に変化をもたらします。しかし、後にその会社は作品を購入しました。形を変容させることは必ずしも悪ではない、という理解が得られたからでしょう」
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