ART
冨安由真がつくる幻のような影〈原爆の図 丸木美術館〉|青野尚子の今週末見るべきアート
August 24, 2023 | Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
天井から吊されたたくさんの手。〈原爆の図 丸木美術館〉で展示されている冨安由真のインスタレーションは原爆の記憶と強く結びついたもの。彼女がいつか、取り組まなければと考えていた作品です。
〈原爆の図 丸木美術館〉は《原爆の図》作者の丸木位里・俊夫妻が自作を収蔵・展示するために建てた美術館。1967年に開館したこの美術館では2011年から現代美術の企画展を始めた。開催中の冨安由真『影にのぞむ』はその一つ。丸木夫妻が描いた原爆と強く結びついた作品だ。
会場では白い手がいくつも、天井から下がっている。頭より少し高い所に吊された手に時折、横から強い照明があてられて反対側の壁に影ができる。しばらくすると天井に小さな丸い光がちらちらと踊る。
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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