ART
生と死を問い、記憶を継承する。大巻伸嗣の個展が〈弘前れんが倉庫美術館〉で開催。
『カーサ ブルータス』2023年6月号より
| Art | a wall newspaper | photo_Keizo Kioku text_Chihiro Kurimoto
東北初となる大巻伸嗣の個展が〈弘前れんが倉庫美術館〉で開催中。大半は本展のために制作されたという、青森と向き合った新作だ。
大きく波打つように、一枚の薄い布が上下に行ったり来たり──。大巻伸嗣の近年の代表作《Liminal Air Space-Time》は、私たちが普段は意識することのない時間や空間の揺らぎを感じられるシリーズだ。現在〈弘前れんが倉庫美術館〉で開催中の大巻伸嗣展では、同シリーズ最大規模となる「事象の地平線」と名づけられた新作が、高さ15mの吹き抜け空間に展示されている。「青森県内をリサーチするなかで目にした海の荒波をイメージした」と大巻は言う。もうひとつの代表作《Echoes Infinity》シリーズからは、青森県内で見かけた動植物や紋様などもちりばめられた新作が登場。床一面の白いフェルトに新岩絵具で描かれたモチーフたちは、来館者に踏まれることで色が薄れてフェルトに定着していく。
これら代表作のほかにも、真っ暗な空間の天井から発生した光の玉が、廃棄物を処理した際に発生した残留物「スラグ」に向かって静かに落ちる《sink》や、理想郷と現実世界の境界を描いた《Echoes Crystallization: Horizon》など、本展のために制作された新作を含む約20点を展示する。
これら代表作のほかにも、真っ暗な空間の天井から発生した光の玉が、廃棄物を処理した際に発生した残留物「スラグ」に向かって静かに落ちる《sink》や、理想郷と現実世界の境界を描いた《Echoes Crystallization: Horizon》など、本展のために制作された新作を含む約20点を展示する。
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