ART
歌川広重の描く、愛すべき「おじさん」に会いに行こう!|青野尚子の今週末見るべきアート
| Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
「東海道五拾三次」などで知られる歌川広重。彼の描く「おじさん」がとてもキュート&ラブリーなのはご存じですか? 知られざる広重の「おじさん」の魅力に迫る展覧会です。
いつも数多くの浮世絵コレクションからユニークなセレクションで楽しませてくれる〈太田記念美術館〉。「広重おじさん図譜」展は広重の絵に登場する「おじさん」に注目したもの。浮世絵はもともとそれほど大きくない上に、広重の絵では風景や街並みが主役であることが多く、たいていの場合、脇役である人物はごく小さい。でも目をこらしてよく見るとどの「おじさん」も個性豊かなことがわかる。
展示を企画した学芸員の渡邉晃さんはラブリーなおじさんを追い求めて大量の浮世絵を調査するうちに「広重が描くおじさんの魅力にはまっていきました」という。何よりも広重のおじさんたちは見ていて楽しいのだ。
展示を企画した学芸員の渡邉晃さんはラブリーなおじさんを追い求めて大量の浮世絵を調査するうちに「広重が描くおじさんの魅力にはまっていきました」という。何よりも広重のおじさんたちは見ていて楽しいのだ。
この展覧会では「見つめるおじさん」「がんばるおじさん」「食べてるおじさん」「あわてるおじさん」などにおじさんが“分類”されている。まずはおじさんが比較的大きめに描かれているものから見ていこう。《浪花名所図会 堂じま米あきない》は米の先物取引所の光景を描いている。当時は取引がヒートアップすると水をかける風習があった。この絵でもあちこちでわめいたり叫んだりしている仲買人たちに柄杓で水を浴びせている。近くの人に殴りかかる勢いのおじさんもいて、お金が絡むとみんな我を忘れるんだなあ、と思ってしまう。
Loading...

青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
Loading...
