ART
ピピロッティ・リストの夢の中のような空間が美術館に出現中!
May 21, 2021 | Art, Design | casabrutus.com | photo_Kunihiro Fukumori text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
スイスのアーティスト、ピピロッティ・リストの回顧展が京都で開催中! ふかふかの絨毯やクッションに体を預けてカラフルな映像やオブジェに包まれる、まるで夢の中にいるような展覧会です。
ピピロッティ・リストはスイス出身のアーティスト。カラフルなビデオ・インスタレーションで知られている。1987年、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で注目を集め、日本でもこれまで〈原美術館〉や〈丸亀市猪熊弦一郎現代美術館〉で個展が開かれたほか、〈金沢21世紀美術館〉には作品が常設展示されている。アーティスト本人は今回来日できなかったが、エネルギッシュで明るいオーラに満ちた女性だ。
会場の〈京都国立近代美術館〉に向かうと、建物の前にロープが張られて白い布がひらひらしているのが目に入る。白い布の正体は下着のパンツだ。男性用、女性用と種類はさまざま。同じ女性用でもお腹がすっぽり隠れるサイズからミニマムなものまでいろいろある。夜はLEDで提灯のように光る。観客はこのパンツの万国旗のような作品を見上げながら建物の中に入ることになる。
会場の〈京都国立近代美術館〉に向かうと、建物の前にロープが張られて白い布がひらひらしているのが目に入る。白い布の正体は下着のパンツだ。男性用、女性用と種類はさまざま。同じ女性用でもお腹がすっぽり隠れるサイズからミニマムなものまでいろいろある。夜はLEDで提灯のように光る。観客はこのパンツの万国旗のような作品を見上げながら建物の中に入ることになる。
広々としたエントランスロビーの正面には映像作品《わたしの草地に分け入って》が見える。ピピロッティ・リスト本人が自分の顔にメイクを施し、ガラスのようなものに顔を押しつけている。顔は歪み、落ちた化粧で画面は汚れていく。
ここでは誰かが叫んでいるのも聞こえてくる。視線を落とすと、叫び声は、足元のカーペットに開いた小さな穴から聞こえてくるのだ。その穴から見える《溶岩の坩堝でわれを忘れて》という映像作品ではリストが「助けて」と叫んでいる。この作品では画面があまりに小さいので観客はしゃがんだり、膝をついてのぞき込まなくてはならない。
作品鑑賞に「眼」は重要だ。展覧会タイトルの「あなたの眼はわたしの島」にも「眼」というキーワードが入っている。が、彼女の作品は眼だけでなく私たちの身体全体で鑑賞するものだ。さらに言えば、展覧会タイトルは英語の「眼」=アイと「島」=アイランドの語呂合わせからつけられている。リストの遊び心はこんなところからも感じられる。
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