ARCHITECTURE
都市に溶け込む宿泊体験!平田晃久のカプセルホテル。
『カーサ ブルータス』2018年7月号より
June 12, 2018 | Architecture, Travel | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Yoshinao Yamada
外国人観光客にも人気の宿泊施設、ナインアワーズ。その新たな可能性に建築家、平田晃久が挑みました!
機能的な美しいデザインでカプセルホテルの概念を大きく変えた〈ナインアワーズ〉。睡眠とシャワーに特化したシンプルな宿泊施設は外国人観光客にも人気が高く、このほど竹橋、赤坂に新店舗を開業した。これまで既存の建築を改装していた〈ナインアワーズ〉だが、この2つではついに建築からデザインを行った。新しいカプセルホテルの可能性に挑んだのが、建築家の平田晃久だ。
Q 新たに建築から建てることとなり、どのようなイメージで設計を進めましたか?
カプセルホテルというと黒川紀章さんらが進めた建築運動のメタボリズムを思い出しますが、カプセルに多くの要素を持たせたそれらと違い、ナインアワーズは寝るための機能という最小限の要素に抑え、明確な考え方を打ち出しています。ナインアワーズが開業に向け、最初につくったイメージは渋谷のスクランブル交差点にカプセルを置くというものです。そうした当初の考えに立ち返り、他の機能は都市に依存し、カプセルそのものを都市に投げ出すことにしたのです。積まれたカプセルが街に溶け出し、プラグインするイメージです。
Q 新たに建築から建てることとなり、どのようなイメージで設計を進めましたか?
カプセルホテルというと黒川紀章さんらが進めた建築運動のメタボリズムを思い出しますが、カプセルに多くの要素を持たせたそれらと違い、ナインアワーズは寝るための機能という最小限の要素に抑え、明確な考え方を打ち出しています。ナインアワーズが開業に向け、最初につくったイメージは渋谷のスクランブル交差点にカプセルを置くというものです。そうした当初の考えに立ち返り、他の機能は都市に依存し、カプセルそのものを都市に投げ出すことにしたのです。積まれたカプセルが街に溶け出し、プラグインするイメージです。
Q 土地に合わせて個性をもたせた建築が魅力的ですが、どのようなリサーチを行っていますか?
敷地が決まると周辺を歩き回りながら、そこで感じるものに着目します。凡庸で猥雑な風景であっても、時間をかけて形成された魅力です。そうした魅力を、カプセルから写真を切り取るかのように楽しめる宿泊体験を考えています。
Q 今後の計画を教えてください。
この秋に完成する浅草は、街が三次元的に絡み合うような建物です。1階にカフェが入居し、そこから機能がぐるりとビルを覆っていきます。看板広告が取り付けられたビルと並ぶ新大阪は、そうしたビルボードを取り込み映像を楽しめる空間に。浜松町や水道橋でも建設が始まります。東京だけでも街ごとでシチュエーションが大きく異なるんです。〈太田市美術館・図書館〉の設計では議論を重ね、要素をどう受け止めていくかを考えました。けれどナインアワーズはカプセルが街にある要素にプラグインしていく建築。掛け合わせのなかで生まれていくものを素直に受け止め、設計を進めています。これからも色々な要素との出会いを楽しみたいです。
敷地が決まると周辺を歩き回りながら、そこで感じるものに着目します。凡庸で猥雑な風景であっても、時間をかけて形成された魅力です。そうした魅力を、カプセルから写真を切り取るかのように楽しめる宿泊体験を考えています。
Q 今後の計画を教えてください。
この秋に完成する浅草は、街が三次元的に絡み合うような建物です。1階にカフェが入居し、そこから機能がぐるりとビルを覆っていきます。看板広告が取り付けられたビルと並ぶ新大阪は、そうしたビルボードを取り込み映像を楽しめる空間に。浜松町や水道橋でも建設が始まります。東京だけでも街ごとでシチュエーションが大きく異なるんです。〈太田市美術館・図書館〉の設計では議論を重ね、要素をどう受け止めていくかを考えました。けれどナインアワーズはカプセルが街にある要素にプラグインしていく建築。掛け合わせのなかで生まれていくものを素直に受け止め、設計を進めています。これからも色々な要素との出会いを楽しみたいです。
平田晃久
ひらたあきひさ 1971年大阪生まれ。伊東豊雄建築設計事務所を経て2005年独立。太田市美術館・図書館で今年の村野藤吾賞受賞。7月15日までギャラリー・間で個展を開催。