ARCHITECTURE
奈良・御所街に棚田とつながる“風の森”の新・醸造所が誕生。吉村理設計の地産地消を具現化する建築とは?
『カーサ ブルータス』2024年10月号より
November 30, 2024 | Architecture | a wall newspaper | text_Katsura Hiratsuka
棚田とつながる酒造りを実践し、自然の恵みとお酒の関係を可視化する、地産地消の醸造所が誕生。設計を手がけた建築家・吉村理と、棚田を100年後まで守りたいという思いのもと、醸造所建設のプロジェクトを主導した油長酒造の蔵元・山本長兵衛に話を聞きました。
棚田の水平線と平行に軒が延び、家形が連続する。風景になじみ、かつ一度見たら忘れられないインパクトがある建物だ。
こちらは自然な発泡感のあるイキイキとした生酒「風の森」で知られる、油長酒造が新設した醸造所だ。奈良県御所市の葛城山麓にある。棚田で育てた米を用い、この場所で醸造がなされる。まさに地産地消を具現化した施設だ。
誕生のきっかけは、棚田を100年後まで守りたいという油長酒造の蔵元、山本長兵衛の思い。
「風の森の酒造りを支える美しい棚田は、担い手不足で危機的状況にある。守り、継承するために何かできないか」と農家と共に構想開始。まずは販売ルート経由で集めた有志のボランティアで、草取りなど棚田の手入れを行う取り組みをスタート。並行して棚田に隣接して醸造所を建てるプロジェクトを、5年がかりで実現させた。
こちらは自然な発泡感のあるイキイキとした生酒「風の森」で知られる、油長酒造が新設した醸造所だ。奈良県御所市の葛城山麓にある。棚田で育てた米を用い、この場所で醸造がなされる。まさに地産地消を具現化した施設だ。
誕生のきっかけは、棚田を100年後まで守りたいという油長酒造の蔵元、山本長兵衛の思い。
「風の森の酒造りを支える美しい棚田は、担い手不足で危機的状況にある。守り、継承するために何かできないか」と農家と共に構想開始。まずは販売ルート経由で集めた有志のボランティアで、草取りなど棚田の手入れを行う取り組みをスタート。並行して棚田に隣接して醸造所を建てるプロジェクトを、5年がかりで実現させた。
設計は建築家、吉村理。山本とは10年以上、蔵や蒸留所、レストランなどの仕事を通じて、共に御所の街に新拠点を仕掛けてきた。
「棚田と呼応する建物形状とし、稲穂のリズムとあわせたランダムな開口部から風の抜ける建物にしました」と吉村。この象徴的なデザインには、この土地における農業と酒造りの関わりを可視化する意味があると山本は語る。
「可視化しづらい農業との関わりを視覚的に伝えられるのが建築の力。葛城山麓醸造所は、御所の美しい自然が生み出す農業や生業を表現する施設になりました」
今秋より醸造所としての機能を開始。当初は「風の森」の販売店などに公開範囲をとどめるが、将来的には販売会やセミナーなどを通じて一般にも開放する予定だ。
「この場所を通じて酒造りがいかに自然に支えられているかを知ってもらいたい」と山本。農と食、里山と都市を有機的につなげる施設が誕生した。
「棚田と呼応する建物形状とし、稲穂のリズムとあわせたランダムな開口部から風の抜ける建物にしました」と吉村。この象徴的なデザインには、この土地における農業と酒造りの関わりを可視化する意味があると山本は語る。
「可視化しづらい農業との関わりを視覚的に伝えられるのが建築の力。葛城山麓醸造所は、御所の美しい自然が生み出す農業や生業を表現する施設になりました」
今秋より醸造所としての機能を開始。当初は「風の森」の販売店などに公開範囲をとどめるが、将来的には販売会やセミナーなどを通じて一般にも開放する予定だ。
「この場所を通じて酒造りがいかに自然に支えられているかを知ってもらいたい」と山本。農と食、里山と都市を有機的につなげる施設が誕生した。
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