ARCHITECTURE
菊竹清訓による群馬・館林の名建築にギャラリー&カフェが誕生! 名作を次世代につなぐプロジェクトが始動。
『カーサ ブルータス』2024年1月号より
December 16, 2023 | Architecture | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Tatsuo Iso
〈旧館林市庁舎〉にギャラリー&カフェが誕生。名建築を活かしながら残す新たな試みが始まった。
菊竹清訓はメタボリズム・グループのメンバーとして、戦後の日本建築界を牽引した建築家の1人だ。その代表作として、まず挙がるのが〈出雲大社庁の舎〉(1963年、現存せず)や〈東光園〉(1964年)だが、ほぼ同じ時期に手がけたものがこの〈旧館林市庁舎〉である。
当時としては珍しい高層の庁舎で、最上階に議場を載せている。構造や設備をタテ方向に集中して配置した箇所をコアと呼ぶが、この建物では内部に階段やトイレを収めたコアを四隅に配置。これに囲まれた中央部を、梁がなく一本の柱だけで支えられた空間として実現している。また四周に片持ちの床を4mも張り出させ、その三面をサッシとガラスだけで覆うことで、透明な箱が空中に飛び出したような、驚異的な建築が出来上がった。
当時としては珍しい高層の庁舎で、最上階に議場を載せている。構造や設備をタテ方向に集中して配置した箇所をコアと呼ぶが、この建物では内部に階段やトイレを収めたコアを四隅に配置。これに囲まれた中央部を、梁がなく一本の柱だけで支えられた空間として実現している。また四周に片持ちの床を4mも張り出させ、その三面をサッシとガラスだけで覆うことで、透明な箱が空中に飛び出したような、驚異的な建築が出来上がった。
市庁舎として1981年まで使われたが別の敷地に新しい市庁舎が完成し、以後は公民館などの機能を収めた市民センターとして使われている。その1階がこのたびギャラリーとカフェからなる〈スペースTBRI〉へと生まれ変わった。
運用するのは、地元の有志を中心に結成された〈東⽑建築リサーチ研究所(TBRI)〉。代表の丸⼭達也は、子どもの頃からこの建物に親しんできた。竣工して60年が経過し、老朽化で存続が危ぶまれるなか、「この建物を活用させてほしい」と申し出て、今回のオープンへとこぎ着けたという。
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