ARCHITECTURE
藤本壮介が太宰府天満宮に手がけた、3年限りの建築。
『カーサ ブルータス』2023年7月号より
June 18, 2023 | Architecture | a wall newspaper | photo_Yoshikazu Shiraki text_Housekeeper
太宰府天満宮「御本殿」の大改修に合わせ、誕生した「仮殿」。その設計を行った藤本壮介に話を聞きました。
2027年の「菅原道真公1125年太宰府天満宮式年大祭」に合わせ、約3年間におよぶ「御本殿」の大改修を開始した太宰府天満宮。それに合わせ、改修期間中に参拝者を迎え入れる「仮殿」が、藤本壮介の設計によって完成した。仮殿に向かい合い、真っ先に目に入るのは、屋根の上に生い茂る木々だ。その発想は一体どこから来たのだろうか?
「今回、宮司の西高辻信宏さんからオファーをいただいた際、伝統的な神社の形式ではなく、現代建築で仮殿を作りたい、というお話がありました。ただ、1100年以上の歴史がある太宰府天満宮に新たな建物を加えるとなると、どうしても違和感が生まれてしまう。その時に、自然を通してであれば調和することができるのではないかと考えました。天満宮の周辺は緑が豊かで、とても美しい。道真公の “飛梅伝説” というお話があるほど、木々を大切にしている場所ですから、それが浮いているように見える屋根を加えることで、見た人にインパクトを与えつつも、周辺の環境に馴染んだ建築にすることができるのではないかと考えました」
「今回、宮司の西高辻信宏さんからオファーをいただいた際、伝統的な神社の形式ではなく、現代建築で仮殿を作りたい、というお話がありました。ただ、1100年以上の歴史がある太宰府天満宮に新たな建物を加えるとなると、どうしても違和感が生まれてしまう。その時に、自然を通してであれば調和することができるのではないかと考えました。天満宮の周辺は緑が豊かで、とても美しい。道真公の “飛梅伝説” というお話があるほど、木々を大切にしている場所ですから、それが浮いているように見える屋根を加えることで、見た人にインパクトを与えつつも、周辺の環境に馴染んだ建築にすることができるのではないかと考えました」
緑が印象的な屋根とは対照的に、内部空間はシンプルに統一されている。斎場を彩る、御帳と几帳は〈Mame Kurogouchi〉黒河内真衣子によるデザイン。御帳は太宰府天満宮を象徴する梅の木をモチーフとし全面にあしらい、几帳は紫根と呼ばれる植物や境内で採集した梅と樟の枝を用いた草木染めが施されている。
「森の屋根によって作られる仮殿の内部はあえて黒一色にしています。御本殿は、朱や金色などをふんだんに使用し、とてもきらびやかな印象なのですが、これを現代の建築素材で再現するとなるとなかなか難しい。なので、内部においては建築的な主張は背後に隠し、そこにあるしつらえものによって色や質感を生み出すことにしました。黒河内さんの繊細だけれど存在感のある御帳(みとばり)と几帳(きちょう)が、素晴らしい空間を作ってくれています」
「森の屋根によって作られる仮殿の内部はあえて黒一色にしています。御本殿は、朱や金色などをふんだんに使用し、とてもきらびやかな印象なのですが、これを現代の建築素材で再現するとなるとなかなか難しい。なので、内部においては建築的な主張は背後に隠し、そこにあるしつらえものによって色や質感を生み出すことにしました。黒河内さんの繊細だけれど存在感のある御帳(みとばり)と几帳(きちょう)が、素晴らしい空間を作ってくれています」
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