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谷尻誠+吉田愛が語る〈NOT A HOTEL NASU〉|16万坪の高原を見渡し 自然と調和する高台の家。
January 17, 2023 | Architecture, Design, Travel | PR | photo_Yoshiaki Tsutsui text_Yoshinao Yamada
NOT A HOTELのフラッグシップとして、那須の広大な高原の中に誕生した〈NOT A HOTEL NASU〉。建築を担当した谷尻誠と吉田愛のインタビューとともにNOT A HOTELの思想を具現化した2つの空間に迫ります。購入よりも気軽にこの空間を体感したいなら、ホテル利用も可能です。
東京駅からおよそ90分。広大な敷地に広がる牧場の高台にある一角が〈NOT A HOTEL NASU〉の舞台だ。谷尻誠と吉田愛率いるサポーズデザインオフィスは、ここで《MASTERPIECE》と《THINK》という2つの空間を実現させた。
自らを「ホテルではない」と謳うNOT A HOTELだが、その存在を一体どう捉えたらいいか。代表の濱渦伸次はそれを、「自宅にも、別荘にも、時にはホテルにもなる、まったく新しい暮らしの拠点」だと表現する。1棟購入もしくは30日単位で利用できるシェア購入でオーナーとなり、利用日以外を貸し出すことで「ホテルにもできる自宅もしくは別荘」となる。すでに国内各地で計画が進み、物件はオンラインで直接販売されている。ホテルとしての運用はNOT A HOTELが行い、オーナーによる手配は必要ない。自身の使用日を設定すれば、他はすべてホテルとして運用してくれる。
濱渦はホテルや別荘が実現してきたラグジュアリーではなく、新しい体験の実現によって豊かさを表現したいと考える。そのためにも唯一無二の世界観を生み出せる建築家をさまざまに起用する。
そうした意味でサポーズデザインオフィスほどプロジェクトの適役はいなかったのではないか。彼らはあらゆる境界を取り払って建築を実現してきた。吉田は「この自然環境に対して彫刻を置くように建物を成立させられないかと考えたんです」と切り出す。
「僕たちは素材感を通してラグジュアリーを表現したいと考えました。高価な素材ではなく、侘び寂びを感じさせる素材感や技術力を感じさせる表情です」と続ける谷尻は、サービスが行き届くホテルは知性によって心地よさを追求したものではないかと考えた。
「だから、ここは知性の体験に野生の体験が入り混じる空間にしたいと思いました。管理が行き届きすぎると開放的な心地よさから離れてしまう。ホテルにはない、プリミティブな体験を意識しました」
NOT A HOTELは物件を購入すると、他の物件との相互利用も可能だ。今後新しい物件が増えるたびに、宿泊できる物件も増える。将来的には「世界中に家を持ち、明日はどこで暮らそうか?」とアプリで選べるようになるかもしれない。では、その豊かな体験を生み出す空間を紐解いていこう。
自らを「ホテルではない」と謳うNOT A HOTELだが、その存在を一体どう捉えたらいいか。代表の濱渦伸次はそれを、「自宅にも、別荘にも、時にはホテルにもなる、まったく新しい暮らしの拠点」だと表現する。1棟購入もしくは30日単位で利用できるシェア購入でオーナーとなり、利用日以外を貸し出すことで「ホテルにもできる自宅もしくは別荘」となる。すでに国内各地で計画が進み、物件はオンラインで直接販売されている。ホテルとしての運用はNOT A HOTELが行い、オーナーによる手配は必要ない。自身の使用日を設定すれば、他はすべてホテルとして運用してくれる。
濱渦はホテルや別荘が実現してきたラグジュアリーではなく、新しい体験の実現によって豊かさを表現したいと考える。そのためにも唯一無二の世界観を生み出せる建築家をさまざまに起用する。
そうした意味でサポーズデザインオフィスほどプロジェクトの適役はいなかったのではないか。彼らはあらゆる境界を取り払って建築を実現してきた。吉田は「この自然環境に対して彫刻を置くように建物を成立させられないかと考えたんです」と切り出す。
「僕たちは素材感を通してラグジュアリーを表現したいと考えました。高価な素材ではなく、侘び寂びを感じさせる素材感や技術力を感じさせる表情です」と続ける谷尻は、サービスが行き届くホテルは知性によって心地よさを追求したものではないかと考えた。
「だから、ここは知性の体験に野生の体験が入り混じる空間にしたいと思いました。管理が行き届きすぎると開放的な心地よさから離れてしまう。ホテルにはない、プリミティブな体験を意識しました」
NOT A HOTELは物件を購入すると、他の物件との相互利用も可能だ。今後新しい物件が増えるたびに、宿泊できる物件も増える。将来的には「世界中に家を持ち、明日はどこで暮らそうか?」とアプリで選べるようになるかもしれない。では、その豊かな体験を生み出す空間を紐解いていこう。
ノットアホテル那須
NOT A HOTEL NASU (2022)
by SUPPOSE DESIGN OFFICE
Nasu, Tochigi
2022年竣工。《MASTERPIECE》《THINK》、これから完成する《CAVE》の3棟からなり、《THINK》はさらに母屋と離れの2つの建築で構成される。自然と向き合う開放的な窓を設けながら、天井を高くとることで明暗のコントラストを実現。穏やかで心地よい空間を生み出した。●栃木県大田原市狭原1291-7
サポーズデザインオフィス
谷尻誠と吉田愛が率いる建築設計事務所。2000年に広島で創業、現在は東京と広島を拠点とし、住宅や商業施設などの設計、プロダクトデザインのほか、オフィスと食堂を同居させた〈社食堂〉、不動産業〈絶景不動産〉など幅広く活動する。
NOT A HOTEL NASU (2022)
by SUPPOSE DESIGN OFFICE
Nasu, Tochigi
2022年竣工。《MASTERPIECE》《THINK》、これから完成する《CAVE》の3棟からなり、《THINK》はさらに母屋と離れの2つの建築で構成される。自然と向き合う開放的な窓を設けながら、天井を高くとることで明暗のコントラストを実現。穏やかで心地よい空間を生み出した。●栃木県大田原市狭原1291-7
サポーズデザインオフィス
谷尻誠と吉田愛が率いる建築設計事務所。2000年に広島で創業、現在は東京と広島を拠点とし、住宅や商業施設などの設計、プロダクトデザインのほか、オフィスと食堂を同居させた〈社食堂〉、不動産業〈絶景不動産〉など幅広く活動する。
【MASTERPIECE】スケールアウトした空間が生むダイナミズム。
敷地に二つの建物が完成した〈NOT A HOTEL NASU〉。そのコンセプトを明快に表現するのが《MASTERPIECE》だ。約1300㎡の敷地に佇む2階建てで、総面積は500㎡超。家族の団らんから友人との集まりまで、さまざまなシーンを楽しめる空間となっている。
力強い表情を持つコールテン鋼の外装が特徴的な《MASTERPIECE》は、高原という自然環境において彫刻的な佇まいを意識して素材が選ばれた。経年とともに変化する表情は、周辺の環境にゆっくりと溶け込んでいく。小高い丘の上に建つことから内部空間を外へ大胆に開き、広大な自然とシームレスにつながる。
室内で驚くのは、そのダイナミックな空間だ。リビングダイニングには6mを超える吹き抜けが広がり、暖炉には巨大な煙突、そして10mの窓で風景を切り取る。谷尻は「住宅を住宅らしく規定する一つにスケール感があります。それを操作することで非日常的な体験を生み出しました」と言う。
リビングダイニングから直結するテラスには宙に突き出したようなプールがあり、ここで泳げば大自然の中を浮遊するかのような感覚をも味わえるだろう。さらに彼らは空間における明暗をうまく操作し、日本的な美学も表現した。巧みな建築表現が、唯一無二の体験を生み出している。
力強い表情を持つコールテン鋼の外装が特徴的な《MASTERPIECE》は、高原という自然環境において彫刻的な佇まいを意識して素材が選ばれた。経年とともに変化する表情は、周辺の環境にゆっくりと溶け込んでいく。小高い丘の上に建つことから内部空間を外へ大胆に開き、広大な自然とシームレスにつながる。
室内で驚くのは、そのダイナミックな空間だ。リビングダイニングには6mを超える吹き抜けが広がり、暖炉には巨大な煙突、そして10mの窓で風景を切り取る。谷尻は「住宅を住宅らしく規定する一つにスケール感があります。それを操作することで非日常的な体験を生み出しました」と言う。
リビングダイニングから直結するテラスには宙に突き出したようなプールがあり、ここで泳げば大自然の中を浮遊するかのような感覚をも味わえるだろう。さらに彼らは空間における明暗をうまく操作し、日本的な美学も表現した。巧みな建築表現が、唯一無二の体験を生み出している。
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