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ARCHITECTURE

【東京・代々木】伝統的なオスマン・トルコ様式の壮麗なモスクへ。|甲斐みのりの建築半日散歩

| Architecture, Culture, Design, Food, Travel | casabrutus.com | photo_Ryumon Kagioka   text_Minori Kai

代々木上原駅の閑静な街並みの中でひときわ異彩を放つのが、アジアで一番の美しさと言われるモスクと、トルコの文化を日本に伝える施設が融合した〈東京ジャーミイ・トルコ文化センター〉。伝統的なオスマン・トルコ様式の美しい建物や礼拝堂は、建築的・芸術的にも見所あまた。トルコを旅しているような心地に。

●異国情緒溢れる、代々木上原のモスク。

優麗な装飾がちりばめられた〈東京ジャーミイ〉のモスク内部。正面の窪んだ部分はミフラーブと呼ばれ、聖地であるメッカの方角を示している。※礼拝中の撮影は禁止されており、特別な許可を得て撮影しています。
優麗な装飾がちりばめられた〈東京ジャーミイ〉のモスク内部。正面の窪んだ部分はミフラーブと呼ばれ、聖地であるメッカの方角を示している。※礼拝中の撮影は禁止されており、特別な許可を得て撮影しています。
〈東京ジャーミイ〉のジャーミイとは、毎週金曜日に集団礼拝がおこなわれる大規模なモスクのこと。尖塔は代々木上原のランドマーク的な存在に。
〈東京ジャーミイ〉のジャーミイとは、毎週金曜日に集団礼拝がおこなわれる大規模なモスクのこと。尖塔は代々木上原のランドマーク的な存在に。
2階モスクの扉。幾何学紋様とともに、流麗なカリグラフィでイスラームのメッセージがあしらわれている。
2階モスクの扉。幾何学紋様とともに、流麗なカリグラフィでイスラームのメッセージがあしらわれている。
優麗な装飾がちりばめられた〈東京ジャーミイ〉のモスク内部。正面の窪んだ部分はミフラーブと呼ばれ、聖地であるメッカの方角を示している。※礼拝中の撮影は禁止されており、特別な許可を得て撮影しています。
〈東京ジャーミイ〉のジャーミイとは、毎週金曜日に集団礼拝がおこなわれる大規模なモスクのこと。尖塔は代々木上原のランドマーク的な存在に。
2階モスクの扉。幾何学紋様とともに、流麗なカリグラフィでイスラームのメッセージがあしらわれている。
宗教哲学について学ぶ姪と、建築的な視点を持ちながら、各地の“祈りの場所”を巡るようになった。そんな中、毎週土・日・祝日の14時30分から、ムスリム(イスラーム教徒)の礼拝の様子も見学できるガイドツアーが開催されていると知り、〈東京ジャーミイ・トルコ文化センター〉を目指す。

通常ならば、モスクに異教徒が入ることはマナー違反だが、1階はホールや売店もある「トルコ文化センター」、2・3階が日本最大のモスク「東京ジャーミイ」として、トルコ共和国宗務庁が設立したこちらの施設は、トルコと日本の文化交流の場として、開館時間内は自由に見学できる。
1階のエントランスにあるゲストルーム。伝統的なトルコ民家の応接間を再現している。
1階のエントランスにあるゲストルーム。伝統的なトルコ民家の応接間を再現している。
「チューリップやカーネーションはトルコ発祥。原種のデザインが随所で見られます」とガイドツアーを担当する広報の下山茂さん。
「チューリップやカーネーションはトルコ発祥。原種のデザインが随所で見られます」とガイドツアーを担当する広報の下山茂さん。
ラマダーン(断食月)の食事会や講演会などが行われる多目的ホール。上部が前後に開閉する窓はオスマン朝時代の窓を再現。壁のカリグラフィにも注目を。
ラマダーン(断食月)の食事会や講演会などが行われる多目的ホール。上部が前後に開閉する窓はオスマン朝時代の窓を再現。壁のカリグラフィにも注目を。
館内各所に設えられた調度品や家具も優れたデザインのものばかり。全てトルコから運ばれてきたもの。
館内各所に設えられた調度品や家具も優れたデザインのものばかり。全てトルコから運ばれてきたもの。
東京ジャーミイの前身「東京回教礼拝堂」の、1938年の開設当時の写真。当時、日本人になじみのないモスク建築を手がけたのは宮大工たち。
東京ジャーミイの前身「東京回教礼拝堂」の、1938年の開設当時の写真。当時、日本人になじみのないモスク建築を手がけたのは宮大工たち。
1階のエントランスにあるゲストルーム。伝統的なトルコ民家の応接間を再現している。
「チューリップやカーネーションはトルコ発祥。原種のデザインが随所で見られます」とガイドツアーを担当する広報の下山茂さん。
ラマダーン(断食月)の食事会や講演会などが行われる多目的ホール。上部が前後に開閉する窓はオスマン朝時代の窓を再現。壁のカリグラフィにも注目を。
館内各所に設えられた調度品や家具も優れたデザインのものばかり。全てトルコから運ばれてきたもの。
東京ジャーミイの前身「東京回教礼拝堂」の、1938年の開設当時の写真。当時、日本人になじみのないモスク建築を手がけたのは宮大工たち。
典雅なドームとミナレットと呼ばれる尖塔が印象的な外観は、伝統的なオスマン・トルコ様式のデザインを踏襲。外部・内部の装飾には、流麗なアラビア文字や、幾何学紋様、植物紋様、色鮮やかなステンドグラスと、トルコ・イスラーム芸術を代表する工芸作品をちりばめ、息をのむような美しさだ。
モスクの壁や天井には、ちみつなアラビア文字のカリグラフィやアラベスク紋様が。ドーム天井を真下から見上げると、シャンデリアが雪の結晶デザインに。
モスクの壁や天井には、ちみつなアラビア文字のカリグラフィやアラベスク紋様が。ドーム天井を真下から見上げると、シャンデリアが雪の結晶デザインに。
モスク内にある、幾何学紋様のべっこうの装飾。
モスク内にある、幾何学紋様のべっこうの装飾。
モスクでは、2階(モスクの1階)が男女共用で、3階(モスクの2階)は女性専用と、礼拝場所が分かれる。※肌の露出が多い服装は男女ともにNG。女性はストールやスカーフで頭を覆うこと。女性用のストールは貸し出しもしています。
モスクでは、2階(モスクの1階)が男女共用で、3階(モスクの2階)は女性専用と、礼拝場所が分かれる。※肌の露出が多い服装は男女ともにNG。女性はストールやスカーフで頭を覆うこと。女性用のストールは貸し出しもしています。
モスクの壁や天井には、ちみつなアラビア文字のカリグラフィやアラベスク紋様が。ドーム天井を真下から見上げると、シャンデリアが雪の結晶デザインに。
モスク内にある、幾何学紋様のべっこうの装飾。
モスクでは、2階(モスクの1階)が男女共用で、3階(モスクの2階)は女性専用と、礼拝場所が分かれる。※肌の露出が多い服装は男女ともにNG。女性はストールやスカーフで頭を覆うこと。女性用のストールは貸し出しもしています。
大ドームを中心に6つの半ドームを配した礼拝場の天井は、内部鋳型を用いずに作られていたり、数千年前から受け継がれる技術「ドーム内空室」が音響装置として取り付けられていたり。内外の壁の大理石は特殊な技術で金具のみを使うなど、伝統と最新の技術が自然な形で融合しているのも建築的な特徴。大理石、シャンデリア、絨毯、椅子やテーブル……水とコンクリート以外の建具や装飾品や家具すべて、トルコから運んできたというところにも大きな価値がある。
2019年に1階奥にオープンした〈ハラールマーケット〉。調味料、お菓子、冷凍食品、インスタント食品、お茶、瓶詰めや缶詰など、さまざまな食品が取り揃う。
2019年に1階奥にオープンした〈ハラールマーケット〉。調味料、お菓子、冷凍食品、インスタント食品、お茶、瓶詰めや缶詰など、さまざまな食品が取り揃う。
1階の〈トルコ文化センター〉には、ブックショップ、ハラールマーケット、ゲストルーム、ギャラリー、多目的ホールなどが。猫や建築など、本のセレクトも個性豊か。
1階の〈トルコ文化センター〉には、ブックショップ、ハラールマーケット、ゲストルーム、ギャラリー、多目的ホールなどが。猫や建築など、本のセレクトも個性豊か。
2019年に、東京ジャーミイ・トルコ文化センターに隣接してできた「ユヌス・エムレ トルコ文化センター」。トルコの民家の外観をデザインに取り入れている。
2019年に、東京ジャーミイ・トルコ文化センターに隣接してできた「ユヌス・エムレ トルコ文化センター」。トルコの民家の外観をデザインに取り入れている。
2019年に1階奥にオープンした〈ハラールマーケット〉。調味料、お菓子、冷凍食品、インスタント食品、お茶、瓶詰めや缶詰など、さまざまな食品が取り揃う。
1階の〈トルコ文化センター〉には、ブックショップ、ハラールマーケット、ゲストルーム、ギャラリー、多目的ホールなどが。猫や建築など、本のセレクトも個性豊か。
2019年に、東京ジャーミイ・トルコ文化センターに隣接してできた「ユヌス・エムレ トルコ文化センター」。トルコの民家の外観をデザインに取り入れている。
トルコを中心にした、ムスリムのためのさまざまな食材や、手作りのお菓子が並ぶ1階の「ハラールマーケット」で買物したり、東京ジャーミイ・トルコ文化センターに隣接する「ユヌス・エムレ トルコ文化センター」内にある、一般利用も可能なカフェでランチを味わったり、地元の人たちの暮らしに根づいているところにも親しみを抱く。言語、料理、刺繍、楽器など、トルコの文化を学ぶ教室も催されており、海外旅行が難しい今こそ受講してみたい。
デーツ、フムス、紅茶、オリーブオイル、ローズウォーターを〈ハラールマーケット〉で購入。
デーツ、フムス、紅茶、オリーブオイル、ローズウォーターを〈ハラールマーケット〉で購入。
〈東京ジャーミイ・トルコ文化センター〉

〈東京ジャーミイ・トルコ文化センター〉

東京都渋谷区大山町1-19 TEL 03 5790 0760。10時〜18時。(集団礼拝に参加される信徒の方を除き、金曜日の一般の見学は14時〜)。土・日・祝14時30分からはガイドツアーも。
※モスク内の見学は、撮影や服装など諸注意があります。必ず事前にホームページで確認を。

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甲斐みのりの建築半日散歩illustration Yoshifumi Takeda

甲斐みのり

かい みのり  文筆家。旅、散歩、甘いもの、建築など幅広い題材について執筆。その土地ならではの魅力を再発見するのが得意。

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