立木義浩がモノクロで女性たちを撮り続ける理由。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

立木義浩がモノクロで女性たちを撮り続ける理由。

『カーサ ブルータス』2018年9月号より

半世紀以上にわたり活躍し続ける写真家が、初期作と最新作を同時期にリリース。そこに何が写るのか。

天真爛漫でファニーななかに、どこかはかなさや悲しさを秘めた女性の姿に引き込まれる作品群。本作品集には1965年当時は未発表だった24点も含まれる。
「50年以上経ってもまだスナップ写真を撮ってるってことだもんなあ。よく飽きないね!」

そう言ってガハハと大きく笑う写真家の立木義浩さん。80歳にしてお元気そのもののチャーミングなこの人は、半世紀以上、日本の写真界を牽引し続けてきた一人だ。来月に〈シャネル・ネクサス・ホール〉での新作展『Yesterdays 黒と白の狂詩曲』が控える立木さん、実は秋には、1965年に発表して大きな話題となったデビュー作『舌出し天使』が満を持して初出版されるというニュースが続く。いずれの作品も被写体は女性、表現はモノクロ。スナップ写真で被写体の日常を追うという作風も共通する。
双子一組を含む3組、4人の女性を被写体に撮影。決して近すぎず遠すぎずの絶妙な視点から、女性たちの日常、その奥にある感情を浮き彫りにしていく。
「女性を撮ることが多いのは、応援する気持ちが強いかな。女性の時代と言われて久しいけれど、まだまだ難しい局面はたくさんあって、それぞれの女性が悲喜こもごもを抱えながら頑張っている。“その場所の、その瞬間”を捉えるスナップ写真を通じて女性たちの日常に寄り添うことで、全女性にエールを送るような気持ちだよ」

53年前と現在、2つの写真群は、いずれも時代を超越して新鮮。黒と白の階調に限られるからこそ、それぞれの女性たちが秘める力強さや、立木さんの変わらぬ瑞々しい視点が浮き立つようだ。

「歳を重ねるほど、モノクロに惹かれるなあ。色々なものを引き去って同じ土俵に立たせるのがモノクロ。真実を突きつけるようなところがある。モノクロで撮ってると、オレなんてまだまだ修行が足りない若造だなって思うよ(笑)」

『舌出し天使』 

1965年、和田誠の写真構成、寺山修司の詩、草森紳一の解説という錚々たるメンバーで写真雑誌『カメラ毎日』に56ページにわたり掲載された立木のデビュー作を再構成して初出版。リブロアルテ/5,940円(税込)。

『Yesterdays 黒と白の狂詩曲 立木義浩写真展』 

4人の女性の日常を捉えた最新作。9月1日〜29日。〈シャネル・ネクサス・ホール〉東京都中央区銀座3-5-3シャネル銀座ビルディング4F。

Yoshihiro Tatsuki 1937年徳島県生まれ。東京写真短期大学卒業後の58年、アドセンターに入社。69年よりフリーランスとなり、広告や雑誌で活躍するほか、数多くの写真集を出版。日本写真協会作家賞(2010年)をはじめ受賞多数。