『大地の芸術祭2018』新作・見どころ一気に紹介!【前編】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

『大地の芸術祭2018』新作・見どころ一気に紹介!【前編】

今年で7回目になる『大地の芸術祭』はアート作品が充実しているのはもちろん、それ以外の楽しみも増えて、ますます面白くなっています。新作から屋外作品を中心に見どころを教えます!

〈清津峡渓谷トンネル〉にマ・ヤンソン率いるMADアーキテクツが作った《ライトケーブ》。先端まで行くと六角形の結晶になった岩や渓谷がよく見える。
3年おきに開かれる『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』が行われるのは新潟県十日町市と津南町のおよそ760万平方kmのエリア。芸術祭が行われるたびに新しい作品が制作されるほか、それまでに作られた作品のうち一部が残され、どんどん作品が増えていく。今回、新しく生まれた作品はおよそ180点、前回までの芸術祭で作られた作品は200点を超える。『大地の芸術祭』ではもちろんアートが主役だけれど、楽しみはアートだけではない。建築、食、自然、いろんなものを一緒に味わえるのだ。
内部では照明の色がグラデーションで変化する。途中、音楽が流れているところも。「トンネルに入って戻ってくる“旅”を楽しんでほしい」(マ・ヤンソン)
今回の芸術祭で強力にお薦めしたいのが、渓谷を見るために掘られた観光トンネルをリニューアルした〈清津峡渓谷トンネル〉だ。北京の建築設計事務所、MADアーキテクツが全長約750mのトンネルの先端と途中にある展望スペースを改修、入り口にカフェと足湯があるエントランス施設を新設している。
〈清津峡渓谷トンネル〉途中にある展望スペースの一つは《ザ・ドロップ》と名づけられた、火を象徴する場に。
〈清津峡渓谷トンネル〉の途中にあるトイレ《インヴィジブル・バブル》からは渓谷の景色が見える。マジックミラーの原理で外からは中が見えない。
日本三大峡谷の一つとして知られる「清津峡」は、上信越高原国立公園にも指定されている。
〈清津峡渓谷トンネル〉途中にある展望スペースの一つは《ザ・ドロップ》と名づけられた、火を象徴する場に。
〈清津峡渓谷トンネル〉の途中にあるトイレ《インヴィジブル・バブル》からは渓谷の景色が見える。マジックミラーの原理で外からは中が見えない。
日本三大峡谷の一つとして知られる「清津峡」は、上信越高原国立公園にも指定されている。
芸術祭開催中の夏はとりあえず、奥まで行ってみよう。トンネルの中というだけで外より数℃涼しいけれど、先端の「パノラマステーション」では半円形の大きな開口部から渓谷の景色を眺めながら、渓谷の水に足を浸せる。これが本当に冷たくて、数分で足が痛くなってくるほど。
《ライトケーブ》はトンネルに入ってくる光や風を感じる場にもなっている。
エントランス施設の足湯はトンネルを掘っているときに湧いてきた温泉を使った、温かいお湯だ。「温かいお湯から冷たい水へと、地球のエネルギーを感じてほしい」とMADアーキテクツのマ・ヤンソンは言う。
エントランス施設。1階に受付とカフェ、2階に足湯がある。エントランス施設は誰でも入ることができ、その先のトンネルは芸術祭会期中は800円の利用料金が必要。ただし作品鑑賞パスポートを提示すれば無料に。会期中はつねに混雑が予想されるため、公式ツイッターなどでその日の混雑状況を確認しながらお出かけを。
「パノラマステーション」ではトンネル内部に貼られたステンレス板に渓谷の景色が映り込み、水面にはそれらが反転して円形の万華鏡をのぞき込んだような光景になる。トンネルの途中に作られた展望台の一つにはマジックミラーになったトイレがあり、中から渓谷を眺められる。エントランス施設の足湯の上には丸い天窓が開いていて、その上にある鏡に川の流れが映り込むのが見える。このエントランス施設の作品には《ペリスコープ》(潜望鏡)というタイトルがつけられた。
〈清津峡渓谷トンネル〉エントランス施設の《ペリスコープ》。2階の足湯の頭上に天窓が開いていて、鏡に川の景色が映る。天と地とが逆転する。
「潜望鏡のように自然が違う形で見えてくる。建築によって自然に別の要素を付け加えることで、見る人が自然の力を認識することができる。古い庭園のように、単に機能を持つ空間というだけでなく、精神的な価値を理解するための場なんだ」(マ・ヤンソン)