ART
コルビュジエ建築×リー・ウーファン、静寂の部屋。
September 28, 2017 | Art, Architecture | casabrutus.com | text_Mari Matsubara
〈リヨン・ビエンナーレ2017〉が開催中。これに関連し、コルビュジエの名作でも現代アートが展示されています。
フランス、リヨン近郊にある〈ラ・トゥーレット修道院〉で、リー・ウーファンの作品展示が始まっている。ル・コルビュジエが1960年に建設したドミニコ会系修道院は宿泊滞在も可能なので、今でも多くの建築好きやコルビュジエファンが訪れる場所だ。この修道院では9年前から毎年アーティストを招き、遺産的建築と現代クリエーションの対話をテーマとした作品展示イベントを行ってきた。例えば2015年にはアーニッシュ・カプーアが招致されている。今年は〈リヨン・ビエンナーレ2017〉の開催も重なり、そのハブ展示として約3か月間、リー・ウーファンがこの空間のために製作した作品を展覧することになった。
リー・ウーファンは1936年韓国生まれ、20歳から日本に滞在し、日大哲学科を経て、60年代末に興った現代美術運動「モノ派」を立ち上げた一人。人間の手で造られたマテリアルと自然の対峙を一貫したテーマとして、81歳 ( ! ) の今もなお精力的に活動している。
今年3月に修道院に滞在し現場を視察して、作品構想を練った。コルビュジエの特徴である打ち放しのコンクリートとガラスの空間が、ウーファンおなじみの石や金属、紙といった無垢の素材によって姿を一変させている。修道士たちの食堂の床には一面、アルドアーズ(屋根に使う石盤石)の破片を敷き詰め、韓国の和紙を張り合わせた壁と床を作った部屋には、自然石が1つ。他にも回廊の一角や礼拝堂の中、芝生の中庭にも作品が見られる。
修道院は山々を見晴らす丘の傾斜地に人造素材であるコンクリートのブリュットな肌を見せて屹立している。このコルビュジエ建築そのものが大自然と対峙しており、その内側にウーファンは、建築と対峙する作品を据えた。その二重構造が面白い。日帰り鑑賞も可能だが、朝夕刻々と印象が変わる建築と作品の関係性を見届けるために、ぜひ修道院に1泊することをお勧めする。
今年3月に修道院に滞在し現場を視察して、作品構想を練った。コルビュジエの特徴である打ち放しのコンクリートとガラスの空間が、ウーファンおなじみの石や金属、紙といった無垢の素材によって姿を一変させている。修道士たちの食堂の床には一面、アルドアーズ(屋根に使う石盤石)の破片を敷き詰め、韓国の和紙を張り合わせた壁と床を作った部屋には、自然石が1つ。他にも回廊の一角や礼拝堂の中、芝生の中庭にも作品が見られる。
修道院は山々を見晴らす丘の傾斜地に人造素材であるコンクリートのブリュットな肌を見せて屹立している。このコルビュジエ建築そのものが大自然と対峙しており、その内側にウーファンは、建築と対峙する作品を据えた。その二重構造が面白い。日帰り鑑賞も可能だが、朝夕刻々と印象が変わる建築と作品の関係性を見届けるために、ぜひ修道院に1泊することをお勧めする。
リー・ウーファン『記憶の彼方に』
〈ラ・トゥーレット修道院〉