ハイジュエリーと日本の工芸 ─2つの異なる“技”の競演が京都で花開く。

世界的なハイジュエラー、ヴァン クリーフ&アーペルの宝飾品と、日本が誇る伝統的な工芸品。それらを生み出す“技”に着目した展覧会が、〈京都国立近代美術館〉で8月6日まで開催中。会場構成を手がけた建築家・藤本壮介のコメントを交えながら、見どころをご紹介します。

「技を極める」と題された第2展示室。ジュエリーと工芸が渾然一体となって、無限に続いているようにも見える。「小さな展示品をどう空間に変換するかが課題だった」と藤本。
第1展示室の中央に置かれた国産ヒノキのカウンター。1本の木を接いで18mの長さに仕上げた。汚れ防止として表面にウレタン塗装を施している。
第1展示室・全景。ジュエリーの輝きを木の温もりあるテクスチャーが包み込む。
1933年にヴァン クリーフ&アーペルが特許を取得した「ミステリーセッティング」。左から《ブレスレット》《アールデコ ネックレス》《菊の花のクリップ》。
《鳥かご》
《綾織のネックレス》(左)と《ジップ ネックレス》(右)。後者は、ジッパーを上下にスライドして開閉することでブレスレットとにも変容する。
金属を用いて動物などを精緻に形作り、自在に動かせる機能まで備えた自在置物(右)。超絶技巧を極めた工芸とジュエリーが、展示室では違和感なく共存する。
ジュエリーにも負けない存在感を放つ彫刻は大正〜昭和にかけて活躍した安藤緑山の作。いずれも象牙から掘り出している。奥で輝くのは《孔雀図》。
ジュエリーが宙に浮いているように見える第3展示室。観覧者はケースの間を縫うようにして、思いのまま回遊する。大型の工芸品が効果的に配置されている。
ジュエリーの背後に佇むのは、染織家・北村武資による「羅」の裂地。繊細で透明感のある織物が、ジュエリーをより一層輝かせる。
第3展示室の奥に鎮座する、十二代 三輪休雪(龍作)の《卑弥呼山》。陶器に金箔を施した巨大作品。意外なコラボレーションが楽しめる。
第2展示室と第3展示室の間に現れるワークショップ。パリの工房を再現した空間と休憩ラウンジ(写真)から成る。
制作過程で実際に使用されてきた机や椅子、工具などを展示。壁面には、ヴァン クリーフ&アーペルの本店があるヴァンドーム広場の風景が飾られている。
藤本壮介
「技を極める」と題された第2展示室。ジュエリーと工芸が渾然一体となって、無限に続いているようにも見える。「小さな展示品をどう空間に変換するかが課題だった」と藤本。
第1展示室の中央に置かれた国産ヒノキのカウンター。1本の木を接いで18mの長さに仕上げた。汚れ防止として表面にウレタン塗装を施している。
第1展示室・全景。ジュエリーの輝きを木の温もりあるテクスチャーが包み込む。
1933年にヴァン クリーフ&アーペルが特許を取得した「ミステリーセッティング」。左から《ブレスレット》《アールデコ ネックレス》《菊の花のクリップ》。
《鳥かご》
《綾織のネックレス》(左)と《ジップ ネックレス》(右)。後者は、ジッパーを上下にスライドして開閉することでブレスレットとにも変容する。
金属を用いて動物などを精緻に形作り、自在に動かせる機能まで備えた自在置物(右)。超絶技巧を極めた工芸とジュエリーが、展示室では違和感なく共存する。
ジュエリーにも負けない存在感を放つ彫刻は大正〜昭和にかけて活躍した安藤緑山の作。いずれも象牙から掘り出している。奥で輝くのは《孔雀図》。
ジュエリーが宙に浮いているように見える第3展示室。観覧者はケースの間を縫うようにして、思いのまま回遊する。大型の工芸品が効果的に配置されている。
ジュエリーの背後に佇むのは、染織家・北村武資による「羅」の裂地。繊細で透明感のある織物が、ジュエリーをより一層輝かせる。
第3展示室の奥に鎮座する、十二代 三輪休雪(龍作)の《卑弥呼山》。陶器に金箔を施した巨大作品。意外なコラボレーションが楽しめる。
第2展示室と第3展示室の間に現れるワークショップ。パリの工房を再現した空間と休憩ラウンジ(写真)から成る。
制作過程で実際に使用されてきた机や椅子、工具などを展示。壁面には、ヴァン クリーフ&アーペルの本店があるヴァンドーム広場の風景が飾られている。
藤本壮介

1906年、パリのヴァンドーム広場で創業したヴァン クリーフ&アーペル。宝石を支える爪を表からは見せない「ミステリーセッティング」の開発など、独自のスタイルと優れた技術で、世界的に知られるハイジュエリーメゾンである。そんなメゾンが誇るアートピースを間近に見られる機会があるのをご存じだろうか? 年に一度、世界で一つの美術館でのみ開催される展覧会。それが今年、〈京都国立近代美術館〉で開かれているのだ。

《バードクリップとペンダント》ヴァン クリーフ&アーペル コレクション Patrick Gries (c) Van Cleef & Arpels
《ヴァルナ ヨットのミニチュア》ヴァン クリーフ&アーペル コレクション Patrick Gries (c) Van Cleef & Arpels
《バードクリップとペンダント》ヴァン クリーフ&アーペル コレクション  Patrick Gries (c) Van Cleef & Arpels
《ヴァルナ ヨットのミニチュア》ヴァン クリーフ&アーペル コレクション Patrick Gries (c) Van Cleef & Arpels

『技を極める—ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸』と題された展覧会ではそのタイトル通り、ヴァン クリーフ&アーペルの宝飾品と、七宝や陶芸、漆芸、金工といった日本の工芸を同じ空間に展示することで、それらを作り出した日仏の職人技を対比。高い完成度や精緻な作り、圧倒的な美しさを通して、国や文化の違いを超えた、“極められた技”の共通性や親和性を見出す仕掛けになっている。

並河靖之《蝶に花丸唐草文飾壺》京都国立近代美術館蔵 撮影:江崎義一
十二代西村總左衞門《孔雀図》京都国立近代美術館蔵 撮影:木村羊一
並河靖之《蝶に花丸唐草文飾壺》京都国立近代美術館蔵 撮影:江崎義一
十二代西村總左衞門《孔雀図》京都国立近代美術館蔵 撮影:木村羊一

3つのセクション(展示室)とワークショップから成る会場のデザインは、藤本壮介が担当。国内外で数多くのプロジェクトを手がける若手建築家で、『二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五展』(パナソニック 汐留ミュージアムほか)や『Future Beauty』展(東京都現代美術館ほか)など展覧会の会場構成にも精力的に携わっている。今回は、展覧会のオープニングに際して藤本にインタビューを敢行。現地リポートと合わせて、会場構成にまつわるコメントも紹介する。