クリスチャン・マークレーが、杉本博司の〈江之浦測候所〉で見せたもの。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

クリスチャン・マークレーが、杉本博司の〈江之浦測候所〉で見せたもの。

杉本博司の美意識が隅々まではりつめる〈江之浦測候所〉。その美しい庭園で、クリスチャン・マークレーと彼の友人たちによるパフォーマンスが行われました。音も光も風もすべてが一期一会のパフォーマンスをレポートします。

〈江之浦測候所〉でパフォーマンスをするクリスチャン・マークレー。〈冬至光遥拝隧道〉と呼ぶコールテン鋼でできた鉄のトンネルの上でボールを転がす。 (c) Odawara Art Foundation photo_Changsu
〈江之浦測候所〉は杉本博司が構想から20年かけて実現した、それ自体が彼の作品であるような場だ。小田原の蜜柑畑だった場所に2017年にオープンし、今も変化し続けている。広大な敷地内にはギャラリー棟や光学硝子でできた舞台、茶室、門などが点在する。竹林の中には杉本自身の作品である数理模型が顔を出す。石仏や五輪塔の中には飛鳥時代や室町時代まで遡るものも。時空を超えた美を体現する空間だ。
〈江之浦測候所〉の光学硝子舞台でのパフォーマンスの様子。タイトルどおり《Found Objects》(アーティストが制作したものではない素材=見いだされたもの)で音を出す。 (c) Odawara Art Foundation photo_Timothee Lambrecq
石舞台の上で地球儀を投げるクリスチャン・マークレー。  (c) Odawara Art Foundation photo_Changsu
ここでパフォーマンスを行ったクリスチャン・マークレーは前衛音楽シーンで活躍するミュージシャンであり、音の視覚化について探求するアーティストでもある。レコードを使ったパフォーマンスなどでも知られている。〈江之浦測候所〉でのパフォーマンスは〈東京都現代美術館〉での個展『トランスレーティング[翻訳する]』のため来日した彼が、長年の友人たちと行ったもの。晩秋の小田原で2日間限りの特別な時間が流れた。
叫び、息を絞り出すようにして《Manga Scroll》を演じる山崎阿弥。 (c) Odawara Art Foundation photo_Changsu
マークレーの《Manga Scroll》。山崎はこの作品をもとにしてボイス・パフォーマンスを演じた。  (c) Odawara Art Foundation photo_Changsu
パフォーマンスは3部構成。最初に〈夏至光遥拝100メートルギャラリー〉と名づけられた細長いスペースでパフォーマンス《Manga Scroll》が始まった。「夏至光遥拝」の名の通り、夏至の日の出の光のみが奥まで一直線に差し込む場だ。《Manga Scroll》はマークレーが既存のマンガからオノマトペ(擬音)を抜き出してコラージュした作品。声のアーティストであり、美術家の山崎阿弥がそのオノマトペをもとにボイス・パフォーマンスを演じた。ときに語るように、ときにささやくように聞いたことのない不思議な声を出す。金属音のように聞こえるものや倍音も繰り出して空間を満たす。
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