北アルプスの水と風を感じる芸術祭へ|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

北アルプスの水と風を感じる芸術祭へ|青野尚子の今週末見るべきアート

長野県・信濃大町の澄んだ空気と湖を舞台に開催される『北アルプス国際芸術祭2020-2021』。ダムや湖など5つのエリアに点在するアートはどれも粒ぞろい。世界各地から集まった作品の見どころを紹介します!

「源流エリア」、杉原信幸《アルプスの玻璃の箱舟》。青木湖で雪解けの春にだけとれる水晶を使ったオブジェ。湖の上で雪をかぶった北アルプスのように輝く。 photo_Tsuyoshi Hongo
本州のほぼ中央にある長野県。「北アルプス国際芸術祭2020-2021」の舞台となる大町市は長野県の西北部に位置している。その北西には北アルプスがそびえ立ち、冬の日本海の暴風雨から街を守ってくれている。北アルプスからは伏流水がふんだんに流れ込む。大町はいろんな意味で北アルプスの恩恵を受けている。恵み豊かな地で開かれるこの芸術祭ではこの地域の魅力を満喫できるよう、市街地・ダム・源流・仁科三湖・東山の5つにエリアをわけた。各エリアごとにピックアップした作品を紹介する。

【市街地エリア】

宮永愛子作品《風の架かるところ》。舞台の奥に向かって「風の道」が一直線に通る。 photo_Tsuyoshi Hongo
「市街地エリア」の宮永愛子の作品は若一王子(にゃくいちおうじ)神社境内の大町護国神社に設置されている。若一王子神社は室町時代に、街に水が入ってくる重要な位置に建てられた神社だ。大町護国神社にはたくさんの絵馬が奉納されているのだが、普段は扉が閉められている。宮永はそこに”風の道”を通した。細長い箱の一方から中をのぞくと小さな山やハシゴのようなものが見える。山はナフタリンでできていて、少しずつ溶けて結晶となる。山の中に隠れていた水が雪になっていくようにも見える。
宮永愛子《風の架かるところ》。のぞき込むと、風の道が続いているように見える。 photo_Tsuyoshi Hongo
布施知子《OROCHI(大蛇)》。精緻な幾何学で折られた紙が大蛇のようにうねり、とぐろを巻く。 photo_Tsuyoshi Hongo
前回の「北アルプス国際芸術祭2017」でも大きな注目を集めた折り紙作家の布施知子。彼女は地元、大町を拠点に活動している。今回も「コイル折り」という、角柱をねじりながらコイル状に折り畳む独特の折り紙による作品を出展した。このコイル折りの技法が完成したとき、最初に思い浮かべたのが大蛇の姿だという。大町を含む長野県北部には大蛇が子を産むといった伝承がある。複雑な幾何学に昔からの物語が潜む。
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