メディア芸術と社会の新たな関係を知る。『文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』を詳細レポート。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

メディア芸術と社会の新たな関係を知る。『文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』を詳細レポート。

10月3日まで〈日本科学未来館〉ほかにて開催中の『第24回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』。昨年を代表する各分野の芸術作品が一堂に会した現場をレポートします。多様性に富んだその展示内容からは、現代におけるメディアと社会の関係性が見えてきました。

アート部門の大賞受賞作、小泉明郎『縛られたプロメテウス』。
変容する「メディア」と「芸術」

『第24回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』が、10月3日まで〈日本科学未来館〉ほかにて開催されている。1997年から実施されている『文化庁メディア芸術祭』(以下、メディア芸術祭)は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門からなり、今年は世界103の国と地域から3,693作品が応募された。VR/ARといった技術の発展やCOVID-19による社会のリモート化をはじめ、「メディア」と「芸術」をめぐる環境はつねに変容している。本芸術祭の受賞作品もまた、こうした変化を反映したものとなっている。

たとえば今年のアート部門大賞を受賞した小泉明郎『縛られたプロメテウス』は、VR/AR技術を活用しながら人間の業やそれをとりまく社会や未来を描き出す。本作はテクノロジーがもたらすユートピア/ディストピアの可能性を感じさせる体験型演劇作品であり、本作の中心的な存在でもあるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者・武藤将胤の記憶や苦悩を鑑賞者へ体感させることに成功している。
アニメーション部門の大賞受賞作、湯浅政明『映像研には⼿を出すな!』の展示風景。
貴重な原画やスケッチを特別に公開。
エンターテインメント部門大賞である岩井澤健治『音楽』やアニメーション部門大賞・湯浅政明『映像研には⼿を出すな!』も、メディア環境と不可分にあると言える。作者が約7年半かけてつくった自主制作アニメーション作品である『音楽』は、ロトスコープという古典的な手法を用いることで「バンド」や「音楽」に流れる時間の生々しさを捉えている。人気マンガのテレビアニメ化となる後者は、デジタル技術と手描きアニメーションの魅力を融合させると同時に、実際のアニメ制作の過程や、技術・演出論あるいはアニメづくりの葛藤や達成感を描き出すものでもある。
エンターテインメント部門大賞受賞作、岩井澤健治『音楽』の展示風景。ロトスコープによる制作風景や原画を展示する。
他方でマンガ部門大賞の⽻海野チカ『3⽉のライオン』は、日本におけるマンガ表現の成熟を感じさせるものといえよう。本作はすでにテレビアニメ化や実写映画化も行われている人気作品だが、「メディア芸術祭」という視点から改めて捉えなおすことで、作品の魅力が高度なマンガ表現技術によって支えられていることに気付かされるはずだ。
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