夢と現実の間を歩く冨安由真のアート|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

夢と現実の間を歩く冨安由真のアート|青野尚子の今週末見るべきアート

超常現象を思わせるインスタレーションで注目を集める冨安由真。いま横浜で体験できる新作は美術館ではなく劇場での展示だ。念入りに作り込まれた空間で待つものは?

冨安由真「漂泊する幻影」。ほこりが積もった応接セットに唐突に現れた鹿の剥製。
〈KAAT 神奈川芸術劇場〉は主に演劇のためのホールだが、これまでにもさわひらき、塩田千春らアーティストの展示も行っている。冨安由真の新作「漂泊する幻影」が展示されているのは中スタジオ。普段は演劇の公演や稽古に使われている場所だ。
今にも動き出しそうな剥製が静かに佇む。
机の上にはかけらやほこりがたまっている。
防音のための重い扉を開けるとすぐ、クラシックな木の扉がある。不自然なほど小さなスペースだ。その木の扉を開けると向こうに人影が見える。でもそこには誰もいないはずなのだ。観客はここから一気に冨安の世界に引き込まれていく。
生きた鹿かとぎょっとさせられるけれど、剥製だ。テーブルの上のランプは点いたり消えたりしている。
どこかの廃墟をさまよい歩くような映像が映し出される。
さらに進むと、大きな暗い空間に出る。目を凝らしていると何かにスポットライトが当たるのが見える。うち捨てられたようなテーブルと椅子に、電話機や動物の剥製やライトといった意味があるのかないのかわからないオブジェが絡む。ぬいぐるみのようなものがたくさん置かれたピアノや、ソファやローテーブルが置かれた一角もある。スポットライトは順番にそれらを照らし出していくが、それぞれの明かりは数分で暗くなってしまう。時折、霧が出たりノイズが聞こえてきたりもする。壁の一面には断続的に、廃墟の中をさまようような映像が映し出される。
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