新作を制作中のFUTURAに旧友のNIGO®が直撃! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

新作を制作中のFUTURAに旧友のNIGO®が直撃!

『カーサ ブルータス』2019年12月号より

互いに深くリスペクトし合うフューチュラとNIGO®。その対話の中に、ふたりに共通するスタンスが垣間見える。

NIGO®(右)のアトリエで一緒にポーズをとるグラフィティーアーティストのフューチュラ。ふたりは1990年代の原宿で出会い、何度もコラボレーションを重ねてきた。
グラフィティーアートの歴史において、フューチュラは誰もが認める偉大な存在だ。グラフィティーの本場ニューヨークで1970年代から独自の作風を確立し、シーンを代表するカリスマとして活躍した彼は、今も現役でアーティストとしての評価を高めている。そんなフューチュラが、東京での約20年ぶりの個展『ジェネレーションZ』の準備のため来日。長年の盟友NIGO®のアトリエを訪問した。ふたりの交流は裏原宿ブーム初期の90年代に始まり、互いにリスペクトし合う仲だ。

20年来の友人と語るFUTURAのビジョン。

自分で全部やるのがフューチュラ流。技法と結びついたいくつかのテーマを最初に決め、そのテーマごとに白いキャンバスに下地のペイントを施していく。まずキャンバスを床に置き、その上に絵の具を垂らす。
ローラーを使って絵の具を広げていく。
キャンバス全体に絵の具を広げ、隅々まで均一にする。今回の展示作品のうち、背景が白なのは1点のみ。他の作品もすべて自身が下地から手がけ、最後までひとりで制作している。
自分で全部やるのがフューチュラ流。技法と結びついたいくつかのテーマを最初に決め、そのテーマごとに白いキャンバスに下地のペイントを施していく。まずキャンバスを床に置き、その上に絵の具を垂らす。
ローラーを使って絵の具を広げていく。
キャンバス全体に絵の具を広げ、隅々まで均一にする。今回の展示作品のうち、背景が白なのは1点のみ。他の作品もすべて自身が下地から手がけ、最後までひとりで制作している。
─『ジェネレーションZ』はどんな展覧会になりますか?

フューチュラ(以下F)  日本に滞在して制作した、いくつかのテーマに基づく新作のペインティングや立体作品で構成する。ペインティングはシリーズごとに技法を使い分けていて、日本でのインスピレーションを生かしたものもあるよ。展覧会をする場所で作品を描くのは今まで何度もやってきたことだ。もともと長さ20mの地下鉄車両に4時間で作品を描き上げていたから早く描くのは得意なんだ。当時はイリーガルだったから、急がなきゃいけなくってね(笑)。
東京に作られた工房の様子。
─NIGO®さんが初めてフューチュラに会ったのはいつですか?

NIGO®(以下N) 96年頃、友人のスケートシングがフューチュラと偶然知り合いになって紹介されました。僕らはフューチュラがやっていたブランドの服を買い漁っていたから、「ヤバイことになったね」という感じでした。

 アートワークを担当していた音楽レーベル〈モ・ワックス〉の日本ツアーで来日した時、原宿を歩いていたらスケートシングに話しかけられたんだ。NIGO®が彼のブランドのモチーフにしていた『猿の惑星』は、自分も高校時代に観てとても重要な映画だった。すぐに通じ合うものを感じたね。

 当時は僕も若くて怖いもの知らずだったから、Tシャツを作るためにすぐに絵をオーダーしました。まだちゃんとしたスキャナーもなかったから、写真に撮って、プリントして……。そして2000年に、フューチュラとやはり伝説的なグラフィティーアーティストのスタッシュによる二人展『コマンドZ』を、僕のギャラリーで開催したんです。

 『コマンドZ』は画期的なエキシビションで、そこからいろいろな変化があった。今回、タイトルを『ジェネレーションZ』にしたのも『コマンドZ』が頭にあったから。そして新しい世代、未来の子どもたちのことを考えたんだ。年を取っても、彼らと一緒に同じものを見て理解する大切さを感じている。今回は息子の13th Witnessの写真作品も展示するよ。

 『コマンドZ』は当時としてはいろいろ新しいことをしていて、7m以上ある立体作品を作ったりしました。ブライアン(アーティストのKAWS)もまだそういう作品は作っていなかった。

 Tシャツとスプレー缶をセットで販売したり、そのパッケージがすごく凝っていたり、NIGO®のプロデュースは本当に新鮮だった。そういうセンスやディテールへのこだわりに、たくさんのことを学んだと思う。プロフェッショナリズム、クオリティ、イマジネーション……。ニューヨークに帰ってから仲間たちに「俺たちも東京を見習ってもっとがんばろうぜ」って話したものだ。
動きを取り入れる新技。ステンシルを使うのはグラフィティーの定番だが、今回は日本で入手したギアを組み合わせて、「動き」を感じさせるパターンを生み出す。
ステンシルを使うのはグラフィティーの定番だが、今回は日本で入手したギアを組み合わせて、「動き」を感じさせるパターンを生み出す。
動きを取り入れる新技。ステンシルを使うのはグラフィティーの定番だが、今回は日本で入手したギアを組み合わせて、「動き」を感じさせるパターンを生み出す。
ステンシルを使うのはグラフィティーの定番だが、今回は日本で入手したギアを組み合わせて、「動き」を感じさせるパターンを生み出す。
─NIGO®さんはフューチュラ作品のどこが好きですか?

 彼が描くキャラクターが昔から大好き。自分のCDのアートワークにも使って、その上から本人に描いてもらったのもたくさんあり、すべて保管しています。

 あのキャラクターは想像上のもので、小さい頃に何かで見たエイリアンが元になっているのかもしれない。今は抽象的な作品が中心で、もっと動きを取り入れようと試みている。描くプロセス自体を表現に反映したりね。ダンスするみたいに作品に向き合って、到達点を見つけ出していく感覚だ。

 あとは自分でキャンバスに向かい、最後まで彼自身で仕上げていくスタイルに惹かれます。最近のアーティストは自分で描かない人も多いので。彼のスタジオでは〈FedEx〉の箱をファイルケースに使ったり、赤いペンをたくさんまとめて置いてあったり、やっていることがいちいちカッコいい。頭の中でどんなことを考えているのかは、いい意味で今もよくわからないんですが、スタジオに行くたびに刺激を受けます。

●こんな作品が展示されます

おなじみのモチーフから新機軸まで、今回のために制作された27点の作品を展示。《POST PRODUCTION》
《SPRAYMASTERZ》
《SHINJUKU》
《PASMO》
《TWOHUNDRED》
おなじみのモチーフから新機軸まで、今回のために制作された27点の作品を展示。《POST PRODUCTION》
《SPRAYMASTERZ》
《SHINJUKU》
《PASMO》
《TWOHUNDRED》
─おふたりは、この20年を振り返ってどう思いますか?

 NIGO®と出会う前、私は仲間たちとニューヨークでローカルに活動していた。でもNIGO®は東京をレペゼンしながら世界を見て、ムーブメントを作っていった。『relax』などの雑誌で紹介してくれたこともあったし、彼がカルチャーを引き寄せる強力なマグネットになって、こうして自分の夢を実現させてくれたと思っている。

 いろんな力が合わさってムーブメントになったんですよね。今にして思うと感慨深いです。ヴァージル・アブローがルイ・ヴィトンのアーティスティックディレクターになったのも大きかった。僕らが90年代からやってきたことが、20年経ってトップのメゾンに認められたということだから。これからもいろいろなチャンスがあるんだと思います。

 その通り。ファッションとノン・ファッションの壁を越えていろんな可能性がある。私たちも、あと20年はやれるだろう?

 どうかな(笑)。でも消えることなくお互い元気でここまで来たし、これからも何か新しいことがしたい気持ちは同じですね。
大好きな〈東急ハンズ〉で、自ら買い求めたツール類。乱雑に見えるが、独自のルールがあるそう。

GENERATION Z 

フューチュラの息子で写真家の13th Witnessの作品も展示。親子の合同展示は世界初。〈ザ・マス〉11月16日~12月15日。東京都渋谷区神宮前5-11-1 TEL 03 3406 0188。12時~19時。火曜・水曜休。

FUTURA

フューチュラ 1955年、ニューヨーク生まれ。70年代からいち早く抽象的なグラフィティーに取り組み、80年代にはバスキアやキース・ヘリングらとともに注目される。多くのファッションブランドとコラボレートする一方、美術館の展覧会にも多数参加している。

NIGO®

ニゴー 自身のアパレルブランド〈HUMAN MADE®〉のディレクションをはじめ〈CURRY UP®〉や〈OTSUMO PEARL〉などの飲食、HONEST BOYZ®といった音楽プロデュースなど領域を超えて活動。現在もアトリエではフューチュラの作品を飾っている。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます