MoMAの新スペースで音響アートを楽しむ。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

MoMAの新スペースで音響アートを楽しむ。

空間といい作品といい、観るべきモノ満載の新生MoMA。新たに出現したパフォーマンス用スタジオでは、歴史ある音響インスタレーションが!

『レインフォレストV 』展。ガラスごしに53丁目側の景色が目に飛び込んでくる。 Photo_Heidi Bohnenkamp Rainforest V (variation 1). 1973/2015. (c) 2019 David Tudor and Composers Inside Electronics Inc. (c) 2019 The Museum of Modern Art. 
新生MoMAを象徴するこけら落とし展が、『レインフォレストV』だ。真新しいスペースに、まるでモビールのように吊り下げられたオブジェの数々。見ればブリキのバケツや古いパソコンのハードドライブ、ガラスの花瓶、木箱といった日用品だ。それぞれスピーカーが取り付けられていて、別々の音を発している。

オブジェの間を歩き回って眺めたり、オブジェに耳を近づけ、底から響いてくる音を楽しんだり。『レインフォレスト V』は年齢や言葉、美術知識のあるなしを問わず、誰でも楽しめるビジュアル&サウンド・インスタレーションだ。

そもそもは1968年、マース・カニンガムのダンス用に作られた楽曲『レインフォレスト』に端を発する作品で、曲を手がけたのがデヴィッド・チュードア。一般に、盟友ジョン・ケージが作曲した『4分33秒』を初演したピアニストとしても知られる伝説の実験/前衛音楽家だ。チュードアは1973年にこの曲をパフォーマンス作品へ発展させ、ミュージシャンやアーティスト達と上演した。ちなみにこれが、後のComposers Inside Electronics Inc.、いまや40年の活動歴を誇る世界的な実験音楽集団である。何十年にもわたり演奏されてきた『レインフォレスト』の最新型が、今回の展示という訳だ。

なお期間中はミュージシャンによるライブ演奏も催される。来場者のためにクッションやベンチも用意し、ブラインドを下げて薄暗い空間の中で演奏するのだとか。60年代から現在にいたるNY前衛アートシーンの系譜を体現する、古くて新しいインスタレーションをぜひ。

『Rainforest V (variation 1)』

〈The Museum of Modern Art〉
11 West 53 St., New York TEL (1) 212 708 9400。入場料25ドル。10時~17時30分(金~21時)。無休。展示は2020年1月5日まで。4階のThe Marie-Josée and Henry Kravis Studio。今後のライブは11月14・16・17日、12月12・14・15日。