ロンドンから珠玉の印象派コレクションが来日! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ロンドンから珠玉の印象派コレクションが来日!

めったに館外貸出をしないことで知られるロンドンの〈コートールド美術館〉。同館の質の高いコレクションからマネ《フォリー=ベルジェールのバー》など有名作がやってきます! 『怖い絵』の著者、中野京子さんも注目する展覧会です。

エドガー・ドガ《舞台上の二人の踊り子》1874年 油彩、カンヴァス 61.5×46cm コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust) 舞台の正面ではなく、脇の桟敷席から見下ろすような視点が斬新だ。
ロンドンのコートールド美術館は繊維業で財を成した20世紀初頭の実業家、サミュエル・コートールドのコレクションを基にした美術館。彼は、当時のイギリスではさほど評価されていなかった印象派・ポスト印象派の作品をイギリスで見せたいと考え、それらの作品を積極的に収集していた。現在、コートールド美術館の核となっている名作が改修工事のため特別に来日。ゴッホ、モネ、セザンヌ、モディリアーニなど約60点の絵画・彫刻がやってくる。
クロード・モネ《アンティーブ》1888年 油彩、カンヴァス 65.5×92.4cm コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust) 1888年、モネが南仏アンティーブに滞在した際に制作したもの。この地の大気や色に引かれた彼は予定を2ヶ月延長してアンティーブにとどまった。
中でも見逃せないのがマネ最晩年の傑作《フォリー=ベルジェールのバー》だ。おおぜいで客で賑うバーのカウンターにバーメイドが手をついて立っている。カウンターの背後には大きな鏡があり、バーメイドが男性客の相手をしていることがわかる。しかしバーメイドが正面から描かれているのだから、鏡の中の2人は中央に近い位置に描かれているはずだ。
エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 油彩、カンヴァス 96×130cm コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust) さまざまな視覚のトリックが隠された絵。粗い筆致で描かれた背景の群衆がバーの喧噪を伝える。
「マネは鏡の中の2人を最初、もっと中央寄りに描いていたのですが、そのあと少しずつ右へずらしていったことがわかっています。こうして全体の構図を三角形にすることで、中央のバーメイドを際立たせ、荘厳ささえ漂う画面に仕上げているのです」と作家・ドイツ文学者の中野京子さんは言う。

この頃、マネは病を患い、外出もままならなくなっていた。そのためアトリエにバーカウンターをしつらえ、この絵を描いた。こうしてリアリズムを追求する一方、鏡の中の像をずらして現実の光景を変容させているのだ。