「世界の見方」を描くジュリアン・オピーの秘密|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

「世界の見方」を描くジュリアン・オピーの秘密|青野尚子の今週末見るべきアート

日本の美術館では11年ぶりのジュリアン・オピーの個展がはじまりました。新作を中心に、大空間をダイナミックに構成した個展です。展示作業が終わったばかりの会場でオピーさんに聞きました。

《Walking in New York 1》2019年。こちらはおよそ6×7メートルほどのサイズの大きな作品。天井の高さを存分に活かしている。
大きな作品は黒い塗料を壁に塗り、それを輪郭線にしている。小さい絵画とは凹凸が逆になっている。
人物画が並ぶ展示室。
《Walking in New York 1》2019年。こちらはおよそ6×7メートルほどのサイズの大きな作品。天井の高さを存分に活かしている。
大きな作品は黒い塗料を壁に塗り、それを輪郭線にしている。小さい絵画とは凹凸が逆になっている。
人物画が並ぶ展示室。
〈東京オペラシティ アートギャラリー〉は天井の高い展示室が特徴だ。企画展示は2つの大きなギャラリーと、もう少しこぢんまりとした「コリドール」と呼ばれるスペースが1つ、合計3つのスペースで行われる。順路は決まっていないが便宜上、順番をつけると最初の展示室には人物をモチーフにした巨大な絵画とLEDによるアニメーションなどが、2番目のスペースには主に立体作品が置かれた。立つ人、歩く人、羊、カラス、ビルなどをモチーフにした彫刻が並ぶ。3番目のスペースでは壁に、鯉が泳ぐLEDのアニメーションが掛けられている。
高層ビルの向こうに人物像が見える。
左の作品《Walking in London》では人物に足が描かれているが、これは少し前のアイデアだそう。近作ではディテールがより省略されるようになり、その代わりに鮮やかな色で遊んでいる。
高層ビルの向こうに人物像が見える。
左の作品《Walking in London》では人物に足が描かれているが、これは少し前のアイデアだそう。近作ではディテールがより省略されるようになり、その代わりに鮮やかな色で遊んでいる。
「2番目の部屋は1番目とは対照的に、壁にはあまり絵をかけずに、タイプの違う彫刻を床に並べた。彫刻はそれぞれ台座に乗せられて、島のように床に置かれている。その間を歩いていくのはコンピュータゲームの中を進んでいくような感じだ。“島”だから彫刻も四方から見ることができて、違う見え方になる」
中央はLEDで表現したカラスのアニメーション。鳥のさえずりをサンプリングした音響作品が流れている。
それぞれの展示室の間には大きな出入り口があって、進んでいくうちに次の展示室が少しずつ見えてくる、その様子もオピーは計算に入れている。

「“旅”をできるだけエキサイティングなものにしたいと思ったんだ。劇場のように階段を上り、一歩一歩歩くごとに新鮮な驚きや情報が味わえるようにしたいと考えた。そういったリズムは個々の作品と同じぐらい重要だと思う」
街角で見かける普通の人々がモデルだ。
2番目と3番目の展示室にはそれぞれ、コンピュータで作った音響作品が流れている。この展覧会では撮影が可能だが、オピーはシャッター音が気になるという。

「コンピュータゲームや映画には音があるよね。僕はスマホのシャッター音が聞こえないようにしたいと思ったんだ。2番目の展示室では鳥のさえずりを、3番目の鯉の展示室では川のせせらぎを録音してコンピュータに取り込み、アルゴリズムを使って楽譜にして、ピアノの音で再生されるようにした。ループではなくて始まりも終わりもなく、いつまでも鳴り続けている」