マルセイユの〈ユニテ・ダビタシオン〉|川合将人のインテリアスナップ | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

マルセイユの〈ユニテ・ダビタシオン〉|川合将人のインテリアスナップ

インテリアスタイリストが街で見つけた素敵な空間を紹介する連載第3回目は、ル・コルビュジエの〈ユニテ・ダビタシオン〉。色彩や家具の使い方は今見ても新鮮です。

連続する高さ8mの彫刻的なピロティが建物を浮かせた地上部は、居住者の駐輪スペースとしても機能。目を引くのは各住戸のバルコニーと一体になった、カラフルな彩色を施した「ブリーズ・ソレイユ」という屋根付きの日除け。住戸内部に入る太陽光の角度を計算し内部気温や明るさを調整するために設置されたもので、軽快なグラフィックアートのようにも見えます。写真:SIME/アフロ
こんにちは。今回は建築家のル・コルビュジエが、自ら考案した「モデュロール」の理論で設計し、世界に5つ建設された集合住宅〈ユニテ・ダビタシオン〉をご紹介します。

マルセイユの〈ユニテ・ダビタシオン〉は、戦後の住宅難解消を目的に1945年にフランス政府の委託を受けて計画され、1952年に完成しました。単身者から4人家族までを想定した23タイプの住戸があり、合計337戸、最大約1,600人が暮らすことができる巨大な建築です。中間階には街路のような廊下に沿って店舗が並び、地中海の美しい眺望を満喫できる屋上には、体育館や幼稚園、プールなども完備しています。

現在も多くの人々が実際に暮らしている内部には、見学可能な住戸だけでなく、コルビュジエの設計を宿泊しながら体験できるホテルに加え、テラス席のあるカフェレストランも併設。近年は屋上階の体育館などを利用した現代アートの展示空間〈MAMO〉もオープンし、新たな文化の発信地としても注目を集めています。

家具やキッチン、収納、階段など、各住戸設備の設計にはシャルロット・ペリアンやジャン・プルーヴェも協力していただけあって、現存するそれらを目にできるのもうれしいところ。外観や住戸内部の隅に至るまで、非常に見どころが多いので、それらを網羅したい人には、マルセイユ観光局によるガイド付きツアーへの参加をおすすめします。
ショップやレストラン、ホテルのある中間階には、吹き抜けにベンチが配された開放的な廊下があリます。住人同士の交流を生む共用スペースが数多く設けられているのも特徴で、建物が町や都市のように機能しています。窓側のベンチの間に設置されているのは、カタツムリのような独特の構造になったフロアランプ。こちらもコルビュジエがデザインしたものです。写真:アフロ
新鮮な地元の食材を使ったランチやディナーを味わえるレストラン〈ル・ヴァントル・ド・ラルシテクト(建築家の腹)〉の内観。店内ではシャルロット・ペリアンとジャン・プルーヴェがデザインしたテーブルなどが使用されています。カフェのみの利用も可能で、天気の良い日には周辺の景色を一望できるテラス席が人気。
人体の寸法を基準に考案された、モデュロール理論に基づいて設計された住宅設備を、宿泊しながら体験できるホテルの一室。レストランと同フロアにあり、広さの異なる2タイプの部屋が用意されています。左手前の壁面に設置されたランプは、マルセイユのユニテ・ダビタシオンのためにコルビュジエがデザインしたもので、現在は〈ネモ〉社から《ランプ・ド・マルセイユ》の名前で商品化されていて、日本でも購入できます。写真:Alamy/アフロ
そびえ立つオブジェのような排気塔が青空に映える、マルセイユのユニテ・ダビタシオンの屋上階には、プールのある保育園や体育館などもあります。2013年から、現代アートの企画展などを行う展示スペース〈MAMO〉としての運営が開始され、設計をマルセイユ出身のデザイナー、オラ・イトが担当しました。写真:アフロ
ショップやレストラン、ホテルのある中間階には、吹き抜けにベンチが配された開放的な廊下があリます。住人同士の交流を生む共用スペースが数多く設けられているのも特徴で、建物が町や都市のように機能しています。窓側のベンチの間に設置されているのは、カタツムリのような独特の構造になったフロアランプ。こちらもコルビュジエがデザインしたものです。写真:アフロ
新鮮な地元の食材を使ったランチやディナーを味わえるレストラン〈ル・ヴァントル・ド・ラルシテクト(建築家の腹)〉の内観。店内ではシャルロット・ペリアンとジャン・プルーヴェがデザインしたテーブルなどが使用されています。カフェのみの利用も可能で、天気の良い日には周辺の景色を一望できるテラス席が人気。
人体の寸法を基準に考案された、モデュロール理論に基づいて設計された住宅設備を、宿泊しながら体験できるホテルの一室。レストランと同フロアにあり、広さの異なる2タイプの部屋が用意されています。左手前の壁面に設置されたランプは、マルセイユのユニテ・ダビタシオンのためにコルビュジエがデザインしたもので、現在は〈ネモ〉社から《ランプ・ド・マルセイユ》の名前で商品化されていて、日本でも購入できます。写真:Alamy/アフロ
そびえ立つオブジェのような排気塔が青空に映える、マルセイユのユニテ・ダビタシオンの屋上階には、プールのある保育園や体育館などもあります。2013年から、現代アートの企画展などを行う展示スペース〈MAMO〉としての運営が開始され、設計をマルセイユ出身のデザイナー、オラ・イトが担当しました。写真:アフロ

〈Hotel LE CORBUSIER〉

280 Boulevard Michelet, Marseille, France TEL 33 4 28 31 39 22。

川合将人

かわいまさと  雑誌、カタログ、広告などでインテリアスタイリストとして活躍。イベントの会場構成、ショップやハウスメーカーの空間を数多く手がけ、執筆活動も行っている。