軽井沢の森に、TNAが設計した別荘のようなホテルが誕生。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

軽井沢の森に、TNAが設計した別荘のようなホテルが誕生。

緑の中にガラス張りの部屋が点在するここは、今年9月にオープンした〈森の離れ〉。自然と一体化した別荘の設計で知られる建築家が手がけた最新ホテルです。

開放感あふれるガラス張りの宿泊棟。居場所によって、それぞれ異なった自然との距離を楽しめる。
軽井沢駅から車で5分。静かな別荘地の一角に〈森の離れ〉はある。約2,600㎡の敷地に建つのは、わずか5棟の平屋建てのヴィラ。驚くのは、それらがすべてガラス張りだということ。しかし、不思議と周囲の緑に馴染み違和感はない。
ガラスの大開口。カーテンを閉じることもできる。冬には、床下に設置された放熱機から暖気を窓際のスリットから出すことで居住域を温かく保つ工夫も。
それもそのはず、設計を担当したのは武井誠+鍋島千恵/TNA。上州富岡駅で日本建築学会賞を受賞するなど注目の建築家ユニットで、彼らの初期の代表作が周辺の森と一体化した、室内に居ながらにして自然をダイレクトに感じることのできる別荘であったことを考えると納得だろう。

「現在では、〈輪の家〉と〈方の家〉の2軒の別荘がバケーションレンタルできるようになり、数か月先まで予約でいっぱいだと聞いています。〈森の離れ〉の計画も、クライアントがそのうちの1軒に宿泊したことがきっかけでした」と武井は話す。
既存樹を縫うように配置された各棟。それぞれに方形の屋根がかけられており、大小2つの屋根が連なっているのは寝室が離れのようになっている3棟。
今回、TNAが手掛けたのは敷地の区割りの段階から。道路からの距離、そして隣同士の建物の距離を考慮しながら、敷地を分割し、それぞれに建物の形状や向きを決めていく。既存樹をできる限り切らないようにしたため、「その作業はまるでパズルのピースを埋めるようでした」と武井。

「いわゆる分譲の別荘地のような風景にしたくなかったんです。平屋建てにしたのも同じ理由。2層にして垂直方向に空間を利用すれば、建物同士の距離をもう少しとれるのですが、そうすると2階から隣家を見下ろすことになるし、森の景色を遮ることにもなる。結果、透明度の高いガラス張りの木造平屋建てを、森の中に分散することにしたんです」
2つある寝室のうち1室が離れのようになっている貫の間。最大5名が宿泊できる。
全5棟のヴィラはすべて広さと間取りが異なる。1棟あたりの床面積は80㎡〜130㎡、基本は2ベッドルームで、1棟のみ3ベッドルーム。正方形の部屋もあれば、2つの正方形をずらして配置することで、寝室や浴室を離れのようにしているプランもある。

共通しているのは、ガラス張りではあるものの周囲の視線がほとんど気にならない点だろう。配置が工夫されていることに加えて、建物と建物の間には植栽と目隠しのための塀が設けられており、将来的に植栽が成長すれば塀は取り除かれる予定だという。
室内の家具はほとんどがTNAのデザイン。キッチンや洗濯機も完備しているので、長期滞在が可能だ。
もちろんバスルームもガラス張り。箱庭のように塀で囲われており、周囲からの視線を気にする必要はない。ブラインドを閉じることもできる。
TNAがトータルコーディネートしたインテリアも評判を呼んでいる。ダイニングテーブルやソファからタオル掛けにいたるまで、大半の家具は彼らによるデザイン。とくにダイニングチェアは、〈森の離れ〉のための完全オリジナルだ。

「目指したのは、ホテルでありながら、別荘のような非日常感と居心地のよさを持った空間。建物のどこにいても、常に自然を感じ、自然と対話できる。季節の移ろいはもちろん、周囲の景色も刻々と変わる。その変化を楽しみに訪れてほしいですね」

〈森の離れ〉

長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢字境新田小花沢道下1044-1 TEL 0267 31 5289(武蔵コーポレーション)。全5棟。1棟4〜7名(+子ども2〜3名)利用1泊80,000円〜。

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