菊竹清訓の名建築を振り返る3日間限定の展覧会。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

菊竹清訓の名建築を振り返る3日間限定の展覧会。

建築界の巨匠、故・菊竹清訓が設計し、世界的に高い評価を得ながらも、2019年7月から解体がはじまった〈都城市民会館〉。その魅力を振り返る展覧会が3日間限定で開催される。

築50年以上経っても、古びないデザインが目を引く。 ©Yuuki Nemoto
casabrutus.comのスペシャル記事「JAPANESE MODERN ARCHITECTURE 55/モダニズム建築ベストリスト」にも掲載される名建築が、またひとつ姿を消しつつある。菊竹清訓の設計により、1966年、宮崎県都城市に竣工した〈都城市民会館〉。メタボリズム建築における代表作のひとつとされる。

メタボリズムとは、環境や社会の変化に応じて、都市も建築も新陳代謝を繰り返しながら成長していくべきという建築運動のこと。戦後、高度経済成長期へと向かう1960年代、菊竹清訓、黒川紀章らにより提唱された日本発のムーブメントで、メタボリズムという言葉は生物学用語の「新陳代謝」に由来する。
空から見ると、三角形を基本とする鉄骨トラスの大梁が放射状に配置されているのがよくわかる。コンクリートの上に架かっているのが「変わる部分」。 ©Shingo Saito
〈都城市民会館〉は、鉄筋コンクリート造りの建物下部を「変わらない部分」、その上に架けられた屋根を「変わる部分」と位置づけ。コンクリートの上に、コの字型の鉄骨フレームを放射状に配置し、そこから屋根を吊している。これは地盤が弱く、基礎杭(構造物を支える基礎をつくるため、地中深くまで打ち込む杭)をできる限り少なく、かつ集中させる必要から考えられた形状だという。

独特のルックスから、ヤマアラシともカタツムリとも、オーム(ジブリ映画に出てくる架空の生物)とも呼ばれ、長年市民に親しまれていた同館。しかし、2006年に新しい市民ホールが完成し閉館した後は、活用されることなく老朽化が加速。日本建築学会をはじめ、DOCOMOMO Japan、ICOMOSなどが都城市とともに、再生・活用方法を模索したが、2019年3月に解体が決定した。
解体直前の内部の様子。屋根と一体化した天井の曲線も見える。 ©Yuuki Nemoto
今回の展覧会は、日本建築学会建築歴史・意匠委員会が、都城市からの委託で行った調査記録を菊竹の建築アーカイブズとともに公開するというもの。1970年当時を再現した1/50スケールの再現模型のほか、建築部材や写真、図面・スケッチ、映像などで、在りし日の姿を見ることができる。

戦後建てられたモダニズム建築の多くが更新の時期を迎え、少なからず解体の危機に瀕している今。その保存について考えさせられる機会になるに違いない。

『都城市民会館展 —建築アーカイブズにみる菊竹清訓—』

〈建築会館ギャラリー〉
東京都港区芝5-26-20 建築会館1F TEL 03 3456 2057(日本建築学会事務局・一ノ瀬)。2月17日〜19日。9時15分〜19時(17日13時〜、19日〜16時)。入場無料。

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