ARCHITECTURE
砂漠に花を咲かせた、ジャン・ヌーヴェル渾身の大作。
『カーサ ブルータス』2019年5月号より
| Architecture, Travel | window on the world | photo_Iwan Baan text_Megumi Yamashita
アラビア半島の中東部、ペルシャ湾に突き出す小半島にあるカタール。遊牧生活を基盤にする砂漠の民が暮らす地域も、油田の発見で急激に近代化。首都ドーハは小村から高層ビルが林立する大都市へと発展した。今回オープンしたのは、そんな国の象徴を目指す、地域の風土や文化、歴史などを展示する〈カタール国立博物館〉だ。
場所は砂漠と海の間にある首長王族サーニー家の旧宮殿の周辺。 ディスクが組み合わさったような入り組んだデザインの建築はジャン・ヌーヴェルの設計だ。
石膏などのミネラルが結晶化する"砂漠のバラ"にインスパイアされたフォルムで、砂漠から立ち上がり花を咲かせたという象徴性やミステリアスな美を表現。ショップやレストランはシドニー在住の建築家、高田浩一が担当する。派手な建築で競い合うアラブ諸国だが一歩リードした感がある傑出した建築だ。
〈National Museum of Qatar〉Doha, Qatar TEL(974)4452 5555。9時〜19時(金13時30分〜)。祝日休。入場無料。
