VEHICLE
Chill CARS|日用品のようでありながら、品格を備えたクルマ。
『カーサ ブルータス』2021年1月号より
December 12, 2020 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
使い勝手が良く、見た目が気に入る日用品・道具というものがある。そうした良品に共通するのは、無駄がなく、華美でもなく、かといって質素すぎず、基本に忠実で普遍的なプロダクトということではないだろうか。
1968年、フランスの〈プジョー〉が発売した同社の中堅車種が《504》である。独創性が強く前衛芸術のような〈シトロエン〉、時代を先取りするアイデアに満ちた設計が特徴の〈ルノー〉などのライバルと比べると、特段変わったメカニズムを持たなかったものの、広い室内・荷室は、セダンに求められる実用性を十分に満たしていた。
内外装デザインはごく普通ゆえに飽きを感じさせない。かといって決して退屈ではなく、また華美でも質素でもなく、品格をすら感じられるのは、イタリアの名門〈ピニンファリーナ〉の見事な手腕によるものだ。エンジンは丈夫でパワーは過不足なく、ボディや足回りは堅牢。メンテナンスを行えば、ずっと乗り続けられる。
このように、実用車として十分な性能と装備を持っており、かつタフで余計なものも付いていなかった《504》は、まさに自動車界の良品。「足るを知る」という言葉が、これほど似合うクルマも存在しない。フランスのみならずアフリカや南米などでも生産され、ベストセラーとなったことが、何よりもその証拠となろう。発表から50年以上経った現在もなお、普遍的な魅力を放ち続けている。
内外装デザインはごく普通ゆえに飽きを感じさせない。かといって決して退屈ではなく、また華美でも質素でもなく、品格をすら感じられるのは、イタリアの名門〈ピニンファリーナ〉の見事な手腕によるものだ。エンジンは丈夫でパワーは過不足なく、ボディや足回りは堅牢。メンテナンスを行えば、ずっと乗り続けられる。
このように、実用車として十分な性能と装備を持っており、かつタフで余計なものも付いていなかった《504》は、まさに自動車界の良品。「足るを知る」という言葉が、これほど似合うクルマも存在しない。フランスのみならずアフリカや南米などでも生産され、ベストセラーとなったことが、何よりもその証拠となろう。発表から50年以上経った現在もなお、普遍的な魅力を放ち続けている。
special thanks to Yoshihiro Suto
※データと価格は撮影車両を参考に算出したものです。
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