アマン創始者ゼッカ氏が手がける旅館から何が始まる? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アマン創始者ゼッカ氏が手がける旅館から何が始まる?

『カーサ ブルータス』2021年4月号より

瀬戸内に開業したラグジュアリーな旅館〈Azumi Setoda〉は地域を楽しむ新たな魅力にあふれています。

雪見障子から坪庭を眺める客室。
庭を眺めるラウンジ。数寄屋建築を手がける三浦史郎が築140年の邸宅を改装。
サイクリストの聖地、しまなみ海道沿いの生口島・瀬戸田にエイドリアン・ゼッカが手がける旅館が3月にオープンした。

1950年代に日本で旅館に滞在し、そのもてなしや地域を表現する形としての宿に感銘を受けた体験が後のアマンに影響を与えたのではないかと言われている。いつか日本で旅館をつくることは悲願であったそう。〈Azumi Setoda〉は現在88歳のゼッカ氏初の旅館ブランド第1号だ。今後国内に、さらにグローバルな進出を予定しているという。ベトナムに3軒の〈Azerai〉を展開し、それまでの最高級ホテルとは異なる、カジュアルで街に開かれた新たな滞在を提案している。
右が〈Azumi Setoda〉、左は別棟となる銭湯と宿泊施設〈yubune〉。
ディナーコース10,000円より、地元の食材を使った《八寸》。
この〈Azumi〉も家庭的なおもてなしと地域の文化やコミュニティに根ざした豊かさを追求する。

静謐な和の空間が広がる施設内で、ちょうどよい距離感で接するスタッフたち。搾りたての柑橘類や近海で採れた鯛やタコなど、地元の食材をふんだんに使った料理はいわゆる懐石料理とは異なり、誰かの邸宅に招かれているかのよう。
瀬戸田の海は夕日の名所。
旅館が位置する〈しおまち商店街〉。
瀬戸田の名産、レモン。国産レモンのトップシェアを誇る。
一歩外に出ると、昔ながらの商店街とフレンドリーな地域の人々が迎えてくれる。

この島では〈Azumi Setoda〉を起点に様々な事が始まっている。向かいには、銭湯と客室を併設した別棟〈yubune〉が同時オープン。また商店街の入口には4月に開業予定のレストラン、コーヒーロースター、中長期滞在者向けホテルを有する施設〈SOIL SETODA〉が準備中である。
〈yubune〉の男湯。サウナも付帯。
町に開かれた〈yubune〉のエントランス。〈染司よしおか〉による暖簾は旧堀内邸にあった松の木の草木染め。
単なる地域活性化や町おこしとは異なるのが、島内をグリーンエネルギーへと転換させる取り組みだ。電力を再生可能エネルギーに、電気自動車の島内移動や電動キックボードの観光利用が推進され、さらにホテルでの廃棄物などをコンポストとして再利用したり、農業を始める計画などが予定されている。持続可能な社会を目指すことで新しい魅力を作り出す。旅の醍醐味である新たな発見と人とのつながり、デスティネーションとしての地域の理想型がここにあるのだ。

〈Azumi Setoda〉

広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田269 TEL 0845 23 7911。全22室。1室朝食付き65,000円〜。広島空港またはJR福山駅から車で約60分、尾道港または三原港から高速船で25〜35分。

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