ART
超絶技巧のアーティスト、吉村芳生を知っていますか?
November 6, 2018 | Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono
遅咲きのアーティストとして脚光を浴びたが、突然亡くなってしまった超絶技巧で知られる吉村芳生。東京では初めての個展が開かれます。
長年、地元の山口県を中心に活動し、2007年に森美術館の「六本木クロッシング2007:未来への脈動」で注目を集めた吉村芳生。そのときすでに57歳、遅咲きのアーティストとして話題になった。しかしわずかその6年後、病に倒れてしまう。彼の個展が東京ステーションギャラリーで開かれる。
展覧会タイトルには「超絶技巧を超えて」とあるが、確かにそのテクニックには驚かされる。新聞紙に肖像画を描いたように見える作品は、新聞紙自体が鉛筆で描かれたものなのだ。写真かと見まがう花は色鉛筆で、モノクロームの風景写真に見えるものも鉛筆で丹念に描かれている。かと思うと金網だけを長さ17メートルにわたって描いた作品も。なぜ17メートルかというと、この作品を展示した画廊の壁の長さが17メートルだったからだそう。
何の変哲もない金網が淡々と描かれた作品は、見れば見るほど、いったい何のために制作したのかがわからなくなってくる。緻密に再現された新聞紙の作品もそうだ。これだけの手間をかけて描いているのだから目的やコンセプトがあるのだろうが、その理由はわからない。
展覧会では600点以上の作品を3部構成で紹介する。この個展は中国・四国以外の美術館では初めてのもの。超絶技巧を目の当たりにすることで見る者の中に何がわき出してくるのかを、じっくりと確かめて欲しい。
展覧会タイトルには「超絶技巧を超えて」とあるが、確かにそのテクニックには驚かされる。新聞紙に肖像画を描いたように見える作品は、新聞紙自体が鉛筆で描かれたものなのだ。写真かと見まがう花は色鉛筆で、モノクロームの風景写真に見えるものも鉛筆で丹念に描かれている。かと思うと金網だけを長さ17メートルにわたって描いた作品も。なぜ17メートルかというと、この作品を展示した画廊の壁の長さが17メートルだったからだそう。
何の変哲もない金網が淡々と描かれた作品は、見れば見るほど、いったい何のために制作したのかがわからなくなってくる。緻密に再現された新聞紙の作品もそうだ。これだけの手間をかけて描いているのだから目的やコンセプトがあるのだろうが、その理由はわからない。
展覧会では600点以上の作品を3部構成で紹介する。この個展は中国・四国以外の美術館では初めてのもの。超絶技巧を目の当たりにすることで見る者の中に何がわき出してくるのかを、じっくりと確かめて欲しい。
『吉村芳生 超絶技巧を超えて展』
〈東京ステーションギャラリー〉
東京都千代田区丸の内1-9-1。11月23日〜1月20日。10時〜18時(入館は閉館30分前まで)。金曜日は20時まで開館。月曜休(12月24日、1月14日は開館)。入場料900円。