ART
歴史や最先端の研究を紹介『人体―神秘への挑戦―』
『カーサ ブルータス』2018年4月号より
March 13, 2018 | Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono
様々なデザインや建築の基準となる人体。その形や仕組みについて私たちはあくなき探究を続けてきた。その歴史や最先端の研究成果を紹介する展覧会が開かれる。
見どころの一つはレオナルド・ダ・ヴィンチの『解剖手稿』だ。当時は死体の解剖が禁じられていたにもかかわらず、リアリストのレオナルドは皮膚の下には何があるのかを知るため、禁を破ってスケッチを続けた。医学者アンドレアス・ヴェサリウスも人体解剖を行い、それまでの伝統に縛られない正確な解剖図譜を残した。展覧会では現代医学の基礎の一つとなった『ファブリカ』物の貴重な初版本が見られる。
18世紀になるとヨーロッパでは精巧なワックスモデルが作られる。優れた造形技術による精密さは芸術品の域だ。現代の最先端の映像技術が捉えたミクロの世界は、私たちの体内に潜む未知の光景を見せてくれる。私たちが人体を美しいと感じるのはなぜなのか、その答えの一端が見えてくる。
国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20 TEL 03 5777 8600(ハローダイヤル)。3月13日〜6月17日。9時〜17時(金・土〜20時)。月曜休(3月26日、4月2日、4月30日、6月11日は開館)。1,600円。