VEHICLE
Chill CARS|繊細さを内包した構造美を持つ、アメリカ車の良心。
『カーサ ブルータス』2017年12月号より
November 25, 2017 | Vehicle | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijio Ohara
四角い箱型の車体に丸いヘッドランプと大きな4つの車輪。子供が描いた絵のようなスタイリングだ。それでいて魅力的に見えるのが、初代《ブロンコ》の個性である。
その個性は、「造型力」という言葉に言い換えることができるかもしれない。と言っても、80年代までの〈フェラーリ〉などのスポーツカーが女性の身体の曲線を思わせていた意味での「造形美」とは違う。初代の《ブロンコ》を見ていると、美しい構造体、例えば鉄塔や鉄橋などに通ずる、機能を有した力強い「造型力」を連想させるのだ。
プロダクトデザインで言えば、米国のイームズ夫妻が50年代にデザインした《シェルチェア》。この椅子は合成樹脂の座面にスチールの脚部を特徴とする。脚はトラスのように組まれて強度を持たされていて、それが構造の美になっているのだ。それでいて座面などは、絶妙なカーブを描いている。
《ブロンコ》も単にシンプルで素朴なだけでない。車体とキャビンの関係やヘッドランプの位置、細いピラーなどを見ると、デザイナーが非常に繊細な仕事をしていることがわかる。
1966年の登場時は、実用性一辺倒でなくレジャーとして4WD車に乗ろうとしたユーザーを意識したのが画期的だった。時代を経た今もこのクルマに惹かれるのは、ディテールの繊細さを内包した上で、自動車が原初的に持つ力強さをうまく表現しているからではないだろうか。
プロダクトデザインで言えば、米国のイームズ夫妻が50年代にデザインした《シェルチェア》。この椅子は合成樹脂の座面にスチールの脚部を特徴とする。脚はトラスのように組まれて強度を持たされていて、それが構造の美になっているのだ。それでいて座面などは、絶妙なカーブを描いている。
《ブロンコ》も単にシンプルで素朴なだけでない。車体とキャビンの関係やヘッドランプの位置、細いピラーなどを見ると、デザイナーが非常に繊細な仕事をしていることがわかる。
1966年の登場時は、実用性一辺倒でなくレジャーとして4WD車に乗ろうとしたユーザーを意識したのが画期的だった。時代を経た今もこのクルマに惹かれるのは、ディテールの繊細さを内包した上で、自動車が原初的に持つ力強さをうまく表現しているからではないだろうか。