FOOD
小寺慶子のレストラン予報|麻布十番〈膳処末富〉
『カーサ ブルータス』2022年11月号より
| Food | RESTAURANT FORECAST | photo_Kayoko Ueda text_Keiko Kodera
焚き火料理の新機軸として “狼煙” を上げるでしょう。
焼、炒、燻など多くの調理法にその文字が使われるように、料理と火は切っても切り離せない関係にある。薪火を熱源にした麻布十番〈鈴田式〉や〈薪鳥新神戸〉を手がけてきた末富信さんの次なる一手は、カウンター6席のみの焚き火料理店。〈膳処末富〉では、薪や炭、ときには藁や野菜の端材なども熱源に用いて旬の食材を味わい深い料理に仕上げる。
カウンター内にはラックの高さによって火加減が調整可能な薪窯と六角形の焚き火台を備え、ゲストは “かぶりつき” の状態で食材が調理される様子を眺めることができる。料理は30,000円のコースのみで、17品前後が登場するが、煙とともに立ち上がる香りや音に気分は終始、高まるばかり。じゃきっと小気味よい食感の空芯菜やとろりととろける米茄子も薪で熱されることによって、その個性がさらに際立つ。薪火で薫香をまとわせながら炙った松茸と牛肉のご飯は鼻を抜ける香りまで美味。火とは食材に新たな息吹きをもたらすもの。その意味を実感する焚き火料理が、食べ手の心を熱く焦がす。
カウンター内にはラックの高さによって火加減が調整可能な薪窯と六角形の焚き火台を備え、ゲストは “かぶりつき” の状態で食材が調理される様子を眺めることができる。料理は30,000円のコースのみで、17品前後が登場するが、煙とともに立ち上がる香りや音に気分は終始、高まるばかり。じゃきっと小気味よい食感の空芯菜やとろりととろける米茄子も薪で熱されることによって、その個性がさらに際立つ。薪火で薫香をまとわせながら炙った松茸と牛肉のご飯は鼻を抜ける香りまで美味。火とは食材に新たな息吹きをもたらすもの。その意味を実感する焚き火料理が、食べ手の心を熱く焦がす。
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