DESIGN
アルフレックスジャパンがロマンティックな作風で知られるドイツの実力派デザイナーと協働。
May 13, 2022 | Design | casabrutus.com | text_Hisashi Ikai
国内外の著名デザイナーと協働しながら、ハイクオリティなオリジナル家具を次々に発表しているアルフレックスジャパンがこの春、ドイツの実力派デザイナー、セバスチャン・ヘルクナーと手がけた家具を発表した。
妥協なき素材選びに繊細なディテール…工芸的な視点を大切にしながら、情感に訴えるロマンティックなデザインアプローチを行うセバスチャン・ヘルクナー。彼がアルフレックスジャパンのために手がけたのは、おおらかで品位に満ちたテーブルと椅子だ。
ダイニングテーブル《リア》は、チュチュを纏ったバレエダンサーが軽やかに舞う様子をイメージしながら描いたというドレープ状の脚部が特徴的。4枚の成形合板を波打つような形に組み合わせることで、柔らかな印象を強調した。ボリュームのあるテーブルでも空間を圧迫することなく、まるで風にそよぐカーテンのように軽やかな風景を作り出す。また、曲面を連続してつなぐことで正面性をなくし、角度によってさまざまに表情が変わって見えるのもおもしろい。「ある動きが突然凍った瞬間のような脚がとても気に入っています」とヘルクナーも満足げに語る。
さらに今回新しくコレクションに追加されたのが、体にフィットするボリューム感ある座面から、細長いスチール脚がすっと伸びる立ち姿が美しいチェア《KAIA/カイア》だ。シェル型のシートとサイドから背面までをたっぷりとしたクッションで覆うことで、長時間座っていても疲れにくいように配慮した。さらに、背もたれ上部に施したクッションは、深くもたれかかったときに背筋をやさしく支えてくれる。一方で、シャープで堅い印象を与えがちな細いスチール脚は、先端を丸く加工することでソフトな印象にまとまっている。同シリーズのラウジンチェアは小ぶりな幅62cm、シートハイを42.5cmと少し高めにした。《LIA》の64cmバージョンなどの低めのテーブルと合わせることで、リラックスした姿勢での食事やデスクワークにも対応できる。
家で仕事をする時間が増える一方で、オフィスにはくつろぎが求められるなど、多様に暮らしが変化する時代において、ヘルクナーは、独自の視点から品格のあるスタイルとゆったりとリラックスした感覚を併せ持つプロダクトを完成させた。
家で仕事をする時間が増える一方で、オフィスにはくつろぎが求められるなど、多様に暮らしが変化する時代において、ヘルクナーは、独自の視点から品格のあるスタイルとゆったりとリラックスした感覚を併せ持つプロダクトを完成させた。
セバスチャン・ヘルクナー
1981年生まれ。ドイツのHfG Offenbach University of Art and Designで学び、ステラ・マッカートニーに短期間在籍。2006年に自身のスタジオを設立して以来、クラシコン、トーネット、ローゼンタール、モローゾ、ザノッタなど、世界的なブランドから家具や照明を多数発表してきた。工芸的視点と類稀なる美的感覚をもち、そのどれもが詩的な美しさをたたえる。2019年メゾン&オブジェにて、デザイナー・オブ・ザ・イヤーを、2021年にはミラノでもっとも権威のあるデザイン賞、EDIDA賞のベストデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど今世界でもっとも活躍するデザイナーのひとり。
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