VEHICLE
Chill CARS|保守本流に反旗をひるがえす、元祖ハイテクカー。
『カーサ ブルータス』2019年12月号より
November 15, 2019 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
自動車におけるハイテクというと、昨今は電気自動車や自動運転技術のことを指すが、1950年代からハイテクを追究していたのが、フランスの〈シトロエン〉である。
〈シトロエン〉のクルマにおけるハイテクとは、サスペンションに窒素ガスと油圧を使い、車体の動きを制御するシステムだ。
54年の《15CV-SIX》というモデルにまず採用され、そののち改良を重ねながら、大型セダンでは《DS》(55年)や《CX》(74年)に搭載。その進化形が89年に発売された《XM》である。
通常のコイルスプリングと筒型ダンパーに代わって、窒素ガスの詰まった球体を前後左右に装備。計6つの球体と、電子制御された油圧回路によって、同社がベストと考えるハンドリングと乗り心地が追究されている。スタイリングも独特で、低いノーズのくさび形のプロファイル(側面から見たかたち)は、唯一無二である。
理想を独自の方法で追究することを、30年代から製品づくりのコアバリューに置いてきた〈シトロエン〉らしいクルマである。
企業の重役が乗るセダンは独立したトランクを備えた箱型というのが世の常識だが、《XM》はそのセグメントにありながら、ハッチゲートを備えていた。
メカニズムもスタイリングも、保守本流に反旗をひるがえすようなあり方が身上なのだ。常識をくつがえす痛快さこそ、〈シトロエン〉の、そしてこのクルマの人気が衰えない理由だろう。
54年の《15CV-SIX》というモデルにまず採用され、そののち改良を重ねながら、大型セダンでは《DS》(55年)や《CX》(74年)に搭載。その進化形が89年に発売された《XM》である。
通常のコイルスプリングと筒型ダンパーに代わって、窒素ガスの詰まった球体を前後左右に装備。計6つの球体と、電子制御された油圧回路によって、同社がベストと考えるハンドリングと乗り心地が追究されている。スタイリングも独特で、低いノーズのくさび形のプロファイル(側面から見たかたち)は、唯一無二である。
理想を独自の方法で追究することを、30年代から製品づくりのコアバリューに置いてきた〈シトロエン〉らしいクルマである。
企業の重役が乗るセダンは独立したトランクを備えた箱型というのが世の常識だが、《XM》はそのセグメントにありながら、ハッチゲートを備えていた。
メカニズムもスタイリングも、保守本流に反旗をひるがえすようなあり方が身上なのだ。常識をくつがえす痛快さこそ、〈シトロエン〉の、そしてこのクルマの人気が衰えない理由だろう。
special thanks to Tomomi Kudo ※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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