新連載:寺尾妙子のNEWSなレストラン|今行きたい最新ベーカリー | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

新連載:寺尾妙子のNEWSなレストラン|今行きたい最新ベーカリー

この秋にオープンしたばかりの3軒を、いち早くご紹介! おいしいだけのパンじゃない。コーヒーと、料理と。狙いを定めた相性のよさで攻めるパンを揃えるベーカリーが次々オープンしている。キーワードは「ペアリング」だ。

〈COURTESY(コーテシー)〉

いろんな要素を盛り込んだ欲張りな店である。建築から室内に置くアートまで手がけるクリエイティブディレクターは、レディ・ガガの靴をデザインしたことでも知られるアーティスト、舘鼻則孝。夜はフレンチレストランだが、朝から夕方にかけてはセルフサービスのベーカリーカフェとして営業している。

私は今、このベーカリーでの全品制覇を目論んでいる。きっかけはオープン直後に食べた2つのパンだ。

ひとつはチーフベーカー、青柳吉紀のスペシャリテ《セルワッサン》。塩(セル)の旨みを際立たせるために、あえて生地に塩を混ぜ込まず、カルピスとタカナシの特選という2種使いのバターにゲランドの粗塩を散らしたクロワッサンである。バリバリとハードな生地の内側には、これぞクロワッサンのお手本ともいうべき、蜂の巣状の網目がある。この網目がきれいにできているからこそ、そこに粉の香り、パン生地の熟成香、フレッシュなバターの香りが閉じ込められ、噛んだときに密度の濃い芳香が鼻に抜けていく。
青柳スペシャリテ《セルワッサン》250円。セル(塩)を味わうためのクロワッサン。2種のバターにゲランドの粗塩を散らし、あえて塩の混ざり具合に強弱をつけて、味わいに変化をつけている。
もうひとつは《ジャスミンブリュレ》と名付けられた、ジャスミンクリーム入りのおしゃれクリームパン。この牛乳入りの菓子パン生地にやられた。「ミルク感をストレートに出すために、あえてあまり発酵させない」という生地がうっとりするほどモチモチなうえに、表面を砂糖でキャラメリゼしているから、そのバリッとした飴がけとの対比でさらにモチモチ感が強く感じられる。

いったいほかのパンはどうなんだろう?  好奇心が抑えられず、すぐに食べてみたのが《尾崎牛のモツカレーパン》。カレーパンは油がギューッと染み出ることが多くて実は苦手なのだが、あえて挑戦してみたところ、全然油っこくない! 食べ終わるまでずっと香ばしさが続く。ここにももちろん、工夫がある。
左《尾崎牛のモツカレーパン》450円(以下、税込)。〈コーテシー〉フレンチシェフ、山本篤史が尾崎牛一頭分の内臓でつくるカレーをベースに調整した具を、北海道産の石臼挽き全粒粉を使用した食パン生地で包み、一度焼いてから砕いたコーンフレークの衣をつけて揚げている。揚げパンの技法を使ったカレーパンだ。 右《ジャスミンブリュレ》350円はジャスミン風味のカスタードクリームをバニラアイスのようにコク豊かな生地で包んでいる。
《アメリ》380円。女性のネイルアートからインスパイアされたデコレーション。ピスタチオを混ぜた生地にラズベリージャム、ルバーブのセミコンフィ、バラの香りのマジパン入りペーストが一体となって、華やかな印象に。
マフィン型に焼いたクロワッサン生地で富士山麓豚の煮こごりとレンズ豆のサラダを挟んだ《フランス産レンズ豆のビストロサンド》580円。舘鼻ディレクションのマグカップに入ったコーヒー550円は京都〈小川珈琲店〉の豆を使用。丸みを帯びたやさしい味わい。
クリエイティブディレクターを務めるアーティスト、舘鼻則孝。右は「自分の体のデータに向き合って死を見つめる」ことをテーマにCTスキャンで撮った自らの心臓をモチーフに、スワロフスキーのクリスタルで覆い尽くした作品。
大理石のカウンターの頭上にも、赤い波佐見焼のビーズ4,000個を使った舘鼻の作品が。
マグカップやiPhoneケースなど、舘鼻ディレクションのコーテシーグッズやアートブックが買えるインショップコーナー〈CUBICLE(キュービクル)〉。新進気鋭のアーティストによる企画展も定期的に開催予定。
《アメリ》380円。女性のネイルアートからインスパイアされたデコレーション。ピスタチオを混ぜた生地にラズベリージャム、ルバーブのセミコンフィ、バラの香りのマジパン入りペーストが一体となって、華やかな印象に。
マフィン型に焼いたクロワッサン生地で富士山麓豚の煮こごりとレンズ豆のサラダを挟んだ《フランス産レンズ豆のビストロサンド》580円。舘鼻ディレクションのマグカップに入ったコーヒー550円は京都〈小川珈琲店〉の豆を使用。丸みを帯びたやさしい味わい。
クリエイティブディレクターを務めるアーティスト、舘鼻則孝。右は「自分の体のデータに向き合って死を見つめる」ことをテーマにCTスキャンで撮った自らの心臓をモチーフに、スワロフスキーのクリスタルで覆い尽くした作品。
大理石のカウンターの頭上にも、赤い波佐見焼のビーズ4,000個を使った舘鼻の作品が。
マグカップやiPhoneケースなど、舘鼻ディレクションのコーテシーグッズやアートブックが買えるインショップコーナー〈CUBICLE(キュービクル)〉。新進気鋭のアーティストによる企画展も定期的に開催予定。
菓子パンに惣菜パン。いろいろ食べてみたが、どのパンもバリスタ、田島佳幸が手がけるコーヒーやエスプレッソとの相性がいい。「コーヒーに甘いパンや食事パンを合わせて、忙しいなかにも幸せを感じてほしい」という青柳の思いは、しっかり実現されている。

〈COURTESY(コーテシー)〉

2017年9月29日オープン。

東京都港区赤坂1-8-1
赤坂インターシティAIR1F TEL 03 5312 2303。ベーカリーカフェ7時〜16時、フレンチレストラン18時〜21時LO。日曜と祝日の夜休、不定休あり。