「物語のある食材」から生まれる、イタリアン〈ジロトンド〉。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

「物語のある食材」から生まれる、イタリアン〈ジロトンド〉。

神保町のイタリアン〈ジロトンド〉では、オーナーの出身地である新潟産を中心に「その背景までもがおいしい食材」を積極的に使う。そこから生まれる料理には、味を超えたメッセージが込められている。

「魚沼美雪鱒[みゆきます]の軽い燻製とリコッタチーズ さまざまな茸のアグロドルチェ」1,800円(写真は1/2量)。料理は基本的に1皿を2人でシェアするのにちょうどいいポーション。キッチンで取り分けられて、サーブされる。フリウリ地方のオレンジワイン、パラコスの「ノット2013」グラス1,400円、ボトル7,600円と。
まだオープンしたばかりだというのに、成熟したレストラン文化を感じさせてくれる。神保町界隈の静かな通りに面した店は落ち着いた雰囲気だ。「食材もワインも自然から生まれたもの。だから内装にも木を使って、自然な感じにしたかったんです」と話す店主、村上裕一自身も非常に落ち着いている。
「秋刀魚とウイキョウのカザレッチェ」1,600円(写真は1/2量)。シチリア風のイワシのパスタをサンマでアレンジ。フェンネルシードの香りや香ばしいパン粉の食感がアクセント。
村上は1973年、新潟・柏崎で生まれ。大学時代のアルバイト先でイタリア料理に目覚めて卒業後、イタリアへ留学。翌年にはトスカーナのリストランテで早くもカメリエーレ(サービスマン)としてデビューを果たし、その後はワインにのめり込んでソムリエに。帰国後もイタリア料理の人気店でサービスに携わり、独立前は江戸川橋にある一軒家の〈リストランテ ラ・バリック トウキョウ〉で支配人を務めた経験豊富なサービスマンである。そして、静かな見た目に反して情熱家であり、鋭い選択眼を持ち合わせてもいる。
店主、村上裕一。
そんな村上が独立するにあたって料理長に選んだのが、元同僚の原耕平である。

「イタリアのものだからいいというのではなく、自分たちがイタリアや日本の修業先で、もしくは普段の生活でよいと感じたものを食べてもらいたいということや、生産者が一生懸命育てたストーリーのある食材を使いたいという思いなど、二人とも考えていたことが同じだったのでやりやすかったですね」
「新潟県産和豚もち豚肩ロースのロースト」3,200円(写真は1/2量)。豚骨でとった出汁にシチリアのマルサラ酒と赤ワインを合わせたソース、火を通すことで甘みを増したイチジクを添えて。
たとえば村上の出身地である新潟の名峰、八海山の麓にある〈八ツ峰養魚〉で育った美雪鱒。水温の低い環境でゆっくりと、3年半という長い期間をかけて生育させるため、身が締まり、味がよくなるという。口にするとシルクのようになめらかで、八海山の名水のような清らかな味がする。また新潟県産和豚もち豚は生育段階ごとのエサやストレスにも配慮して育てられたもの。脂身は甘くコクがあるのに、後味がさっぱりとしてクセがない。シンプルにローストするだけで、肉の持ち味が引き出される。