北欧デザインの普遍美が心に沁みる展覧会へ。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

北欧デザインの普遍美が心に沁みる展覧会へ。

『カーサ ブルータス』2018年10月号より

60年代からスウェーデンで活動するインゲヤード・ローマン。日本初の個展は、静かなデザインの魅力にあふれる。

BRAND : IKEA NAME : VIKTIGT  2016年に発表されたイケアの〈ヴィークティグト〉は、グラスウェア、照明器具、家具、ラグなどで構成されたコレクション。他のデザイナーとも協業しながら、それぞれに職人技を生かし、北欧の感性を発揮した。©Inter IKEA Systems B.V.
インゲヤード・ローマン本人を『カーサ ブルータス』が最初に取り上げたのは、おそらく2002年10月号。そのインタビューでは、日本の造形への愛着、シンプルな器への一貫した思い、そして生活すべてがインスピレーションの源であることが語られた。そんな彼女の本格的な展覧会が、ついに東京で実現。この規模の展示は日本初で、自身としても喜ばしい出来事に違いない。

「静のデザイン」と「動のデザイン」があるとしたら、インゲヤードは明らかに前者だろう。1960年代に活動を始めて以来、そのアプローチは不動と言っていい。簡素な形、限られた色、澄んだ美しさ。近年、発表された木村硝子店やイケアなどのプロダクトにも、その作風は当然貫かれた。
BRAND : KIMURA GLASS  NAME : THE SET  1910年創業の木村硝子店は、インゲヤード・ローマンと長年の交流があった。2017年に発表された《ザ・セット》はプレート、ボウル、各種のグラスの4種類のアイテムで構成され、重ねると蓮の花のように見える。
BRAND : 2016/ NAME : TEA SERVICE SET  陶磁器産地の有田と世界16組のデザイナーがコラボレーションした〈2016/〉のテーブルウェア。機能を重視したフォルムには上質な佇まいがある。インゲヤードらしい白と黒の組み合わせで、色合いにも深みが。
<strong>BRAND : KIMURA GLASS  NAME : THE SET</strong>  1910年創業の木村硝子店は、インゲヤード・ローマンと長年の交流があった。2017年に発表された《ザ・セット》はプレート、ボウル、各種のグラスの4種類のアイテムで構成され、重ねると蓮の花のように見える。
<strong>BRAND : 2016/ NAME : TEA SERVICE SET</strong>  陶磁器産地の有田と世界16組のデザイナーがコラボレーションした〈2016/〉のテーブルウェア。機能を重視したフォルムには上質な佇まいがある。インゲヤードらしい白と黒の組み合わせで、色合いにも深みが。
ちなみに02年の取材はストックホルムにあるインゲヤードのスタジオで行われたが、彼女はスウェーデン南部にも自宅兼アトリエがある。その古い学校だった建物をリノベーションしたのは、今回展示デザインを担当するクラーソン・コイヴィスト・ルーネだ。

人々が変化に翻弄される現在こそ、彼女の揺るぎなさはいっそう輝く。いいデザインに特別な何かは必要ないという真理を、この展覧会は実感させてくれるはずだ。
BRAND : ORREFORS NAME : VASE 2003年から09年に発表された花瓶。抽象的なパターンは自然の景色を思わせる。〈オレフォス〉はスウェーデンを代表するガラスブランドで、彼女は1999年からその主要デザイナーとして多くの製品を手がけていた。
BRAND : INGEGERD RÅMAN NAME : BOWL 自身の工房で制作した、黒釉で一部に金彩を用いた陶製のボウル。それぞれが機能的で手に馴染む形をしている。ガラスのデザイナーとして有名なインゲヤードだが、作陶は60年代から現在までずっと続けている。
<strong>BRAND : ORREFORS NAME : VASE</strong> 2003年から09年に発表された花瓶。抽象的なパターンは自然の景色を思わせる。〈オレフォス〉はスウェーデンを代表するガラスブランドで、彼女は1999年からその主要デザイナーとして多くの製品を手がけていた。
<strong>BRAND : INGEGERD RÅMAN NAME : BOWL</strong> 自身の工房で制作した、黒釉で一部に金彩を用いた陶製のボウル。それぞれが機能的で手に馴染む形をしている。ガラスのデザイナーとして有名なインゲヤードだが、作陶は60年代から現在までずっと続けている。

日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 インゲヤード・ローマン展

9月14日〜12月9日。〈東京国立近代美術館工芸館〉東京都千代田区北の丸公園1-1 TEL 03 5777 8600。10時〜17時。月曜休(9月17日、24日、10月8日は開館。翌日休)。入館料600円。

インゲヤード・ローマン

1943年ストックホルム生まれ。コンストファク(スウェーデン国立美術工芸デザイン大学)などで学び、1960年代後半から陶磁器の制作やガラスのデザインを開始。〈スクルフ〉や〈オレフォス〉のデザイナーも務めてきた。多くのテーブルウェアのブランドにデザインを提供している。