スタイルのある暮らしとSATISの関係。LIXIL×LIFESTYLE HOTEL | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

スタイルのある暮らしとSATISの関係。LIXIL×LIFESTYLE HOTEL

『カーサ ブルータス』2018年10月号より

渋谷にいることを忘れてしまいそうなホテルの一室。静謐な空間には、豊かなライフスタイルを生み出す〈LIXIL〉のトイレ《サティス》がありました。

ファッション、食、ホテルを融合した新スポット〈hotel koe tokyo〉。クリエイティブディレクション・設計・インテリアデザインを手がけたSUPPOSE DESIGN OFFICEの共同代表である谷尻誠と、アメニティ&スーベニアのディレクションを担当した天野譲滋が語る、ホテルという空間から見えてくる“スタイルのある暮らし”とは?

天野譲滋  谷尻くんは今、どんな家に住んでいるの?

谷尻 誠  東京でまさに家を建てようとしているんですが、あれこれ悩んだ結果、頑張らないって決めました。とりあえず空間を作っておいて、後で考えようと思って。

天野  僕らが仕事で空間を作るときも、完璧にはしないもんね。“間”みたいなものがなくなると苦しくなるから、ある程度まで作ったら、後は住む人に委ねたい。このホテルだってそうですよね。

谷尻  余白があると変化に対応できるけど、機能から導き出された空間って、機能自体が破綻すると代替がきかなくなってしまう。建築は機能から導かれることが多いので、余白をあえて作ることがすごく大事になってくるんです。
客室のイメージは茶室。スイートルームに相当するXLルームは、室内に離れがあり、リビングが庭のような感覚に。窓の外には渋谷を行き交う人々の姿が。
天野  この客室は「茶室」をテーマにしていて、アートをぽんと置いたりする感じは、茶席みたいな遊び心がある。僕はアメニティをプロデュースしたけど、桐の旅箪笥にティーセットを入れたり、和綴じのメモ帳を作ったりしました。谷尻くんは素材の使い方が上手だよね。和室の入口にある石も、普通は室内に置かないよね。

谷尻  本来合わないようなものをミックスさせて、いい違和感を生み出すのが好きなんです。

天野  自分のオフィスの中に食堂を作っちゃうくらいだからね。
リビングと水回りが、緩やかにつながるLルーム。引き戸の上部がガラス張りになっているため、どちらにいても圧迫感のない広がりのある空間が体験できる。
谷尻  根っこにあるのはファッションなんですよ。おしゃれな人って白いTシャツを適当に着ていても、靴とかカバンがかっこよかったりして、その人のスタイルとしてコンプリートしているじゃないですか。あの感じを建築でもイメージしているのかもしれない。オフィスに一般の人も利用できる「社食堂」を作ったときは、トイレをとにかくいい感じにしようってスタッフと話をしたんです。トイレがきちんとデザインされていると「なんかこのお店いいよね」って思ってもらえる。あんなに小さい場所なのに全体の印象を支配してしまうので、水回りこそ丁寧に設計しないといけないんです。

天野  僕らもインテリアのコーディネートをするときは、トイレのトイレブラシ1本までこだわります。もしそこがお店だったら、お客さんはそういった細部まで感じてみているはずなので。

谷尻  水回りの空間って、なぜか白をイメージしませんか?

天野  するね。清潔感があるからなのかな。

谷尻  それもよくわかるんですけど、僕、暗いほうがリラックスできることに最近気づいたんです。

天野  ここの水回りも素材感があって、広々として落ち着ける。

谷尻  水回りを閉じてしまうと、それ以外の場所にいるときは、ある意味、所有していない空間になるわけですよね。でも、それらがつながっていると、水回りを使っていないときもその空間を感じることができる。実際は使っていない空間も、使えていると感じられるほうがいいじゃないですか。

天野  ひと昔前のトイレは、なんでここだけ真っ白なんだ? っていうくらい別の空間として区切られていたけど、部屋の一部として水回りがあるという意識に変わりつつあるのかもしれないね。

谷尻  水回りを部屋として設計するとき、ステンレスと白だけだとどうしても色気が出ないんです。その点、〈LIXIL〉の《サティス》Gタイプのような黒やトープっぽい色があったりすると、それだけで空間化しやすい。広島の新しいオフィスではSタイプのピンクを考えているんですが、ラワン合板で覆われた空間に置くと、大人っぽくて意外といいんです。