デザインみやげ #10 エットレ・ソットサスのトレー | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

デザインみやげ #10 エットレ・ソットサスのトレー

デザイン好きなら誰でも名前を知っている巨匠の作品。小物なら価格もリーズナブルで、プレゼントするほうももらうほうも気楽な気分。大御所ソットサスのウンチクも一緒に贈って、デザイン談義に花を咲かせましょう。

〈マルトミ〉のトレー《SILENE》W9×D9×H2.8cm 各1,200円
〈マルトミ〉のトレー《SILENE》W9×D9×H2.8cm 各1,200円
2017年に生誕100周年を迎えた、戦後のイタリアデザインを牽引したデザイナー、エットレ・ソットサス。初期の代表作は、1969年に発表された〈オリベッティ〉の真っ赤なタイプライター《ヴァレンタイン》だろう。イタリア・ピエモンテ州にタイプライターの製造販売会社として創立された〈オリベッティ〉とは、1958年からデザインコンサルタントとして契約を結び、大型コンピュータの開発なども行い、その関係は40年に渡って続いた。また、60年代にはインドへ旅行をして、その哲学的思想に大いに影響を受けたり、アメリカを何度も訪れ、アレン・ギンズバーグらビート・ジェネレーションとの交流も深める。70年代にはアレッサンドロ・メンディーニらとともに「スタジオ・アルキミア」を設立。モダニズムへの反動として生まれた多様性、装飾性、過剰性などを特徴とするポストモダンを標榜し、アート性の高いデザインを生み出した。そして1980年、マルコ・ザニーニらと「ソットサス・アソシエイツ」を設立し、'81年にはそのメンバーを含めた30代の若手デザイナーたちと「メンフィス・グループ」を結成した。「メンフィス」はポストモダン・デザインのアイコン的存在ともなり、家具や照明器具、陶磁器など数々の独創的なデザインを生み出していく。このときソットサスは64歳。還暦を過ぎているとはいえ、デザインに対する情熱がますます盛んになっていく、青春期でもあった。

このトレーは1990年代後半に、福井県鯖江市にある日本の老舗漆器メーカー〈マルトミ〉のためにソットサスがデザインを手がけたシリーズのひとつ。メラミン樹脂による漆器のような艶やかな質感で、アートピースのような趣きも。スタッキングも可能で、小物入れのほか灰皿としても使うことができる。《SILENE》は1999年にデザインされ、現在は製造していないデッドストック品のため、在庫限りで終了。まだ手に入るうちに、20世紀デザインの象徴を贈りたい。

HOEK TEL 03 6805 0146