【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ

佐藤オオキがインタビュアーとなって、毎回、話題のクリエイターをゲストに招く集中連載。初回は自身の”ひらめき”と最新の仕事について語ります。

第1回 佐藤オオキ(nendo) いかにフラットな状態で365日走り続けるかが大事。

400以上もの案件を常に同時進行させるデザインオフィス〈nendo〉が、新たに取り組んだプロジェクトは大正製薬の新炭酸飲料〈RAIZIN〉。スマートでクリエイティブなビジネスパーソンが、仕事の合間に手軽にスイッチを切り替えられるドリンクだ。それにちなんで本誌では、佐藤オオキが様々なクリエイターにインタビューし、各人の〝ひらめきのスイッチ〟を探っていきます。第1回は佐藤オオキ自身が、〈RAIZIN〉のクリエイティブと自身のアイデアを生み出す方法について語りました。



味が決まると自動的にデザインが決まる。



まず、今回のプロジェクトを始めたきっかけは?

佐藤 〈RAIZIN〉は5年前に誕生したブランドで、隠れファンが多かったらしいのですが、僕自身もその一人で。それで、昨年の秋に大正製薬の方とお会いしたとき「実は〈RAIZIN〉すごく好きなんです」と話したことがきっかけで、リニューアルのクリエイティブディレクションをやらせていただくことになったんです。


ドリンクのパッケージに描かれている図形の意味は?

佐藤 味をテイスティングする際に味覚の方向性をXY軸を使ってチャートにしていくのですが、それに色を付けてそのままパッケージにしたんですね。味が決まると図形が自動的に決まるという。つまり、僕自身は多角形の形は決めていないんです(笑)。


グラス、コースター、専用のショッパーなど、多角形をモチーフにした様々なグッズまで作ったのはなぜ?

佐藤 手に取れるプロダクトを通して、この多角形が気づいたら日常に浸透しているようにしたいなと思って。なので、広告もグッズも〈RAIZIN〉という文字をあえて入れていないものが多いんですよ。日常で使われるプロダクトって、商品名がバンと印字されることは少ないじゃないですか。だから、ドリンクのパッケージデザインというよりも、プロダクトに近い感覚でデザインしました。


想定しているユーザーは?

佐藤 ワーク・ライフ・バランスを重視した自由な働き方をしているビジネスパーソン。そういう人たちは自分のスイッチを切り替える引き出しをいくつか持っていると思うんですよ。アイテムだったり、食べ物だったり、場所だったり。そのひとつに〈RAIZIN〉がなってくれたらいいなと。


そもそも佐藤さんの仕事は、常に頭のスイッチを切り替えて、ひらめきを生み出さないといけない状況にありますよね。それこそ、膨大なプロジェクトが同時進行しているわけですし。日々どうやってこなしているのですか?

佐藤 僕、スケジュールを見るのが趣味みたいなものなんですよ。それこそトイレでも見ていますから(笑)。それで、タスクをできるだけ細かく分割して、この作業はこの日のこの時間にできるなって、パケット方式みたいに細かく振り分けていくんです。そして、1日の中で気分をプロジェクトにシンクロさせないといけないときって実際にあるんですね。今日は絶対にこれを考えなきゃと追い込まれた状態。そういうときこそ、どれだけ引き出しを持っているかがすごく大事だなって思います。僕の場合は〈nendo〉のオフィスが入っている草月会館の2階にある〈コーネルコーヒー〉に1日3回くらい行くとか、愛犬の〝きなこ〟とちょっと遊ぶとか。音楽もそのひとつで、曲は自分をアゲるものとクールダウンさせるものの3種類でしかフォルダ分けをしていなくて、スイッチを切り替えるときはアゲる曲を聴きながら作業を始めたりしますね。


リラックスしたいときは?

佐藤 僕、リラックスすると調子を崩すんですよ、むしろ(笑)。それよりもいかにして調子を落とさないかのほうが大事で。「アイデアが浮かばないときどうしますか?」とよく聞かれるんですけど、逆にそういう状態にならないようにしています。バーバー&オズガビーとかパトリシア・ウルキオラとかブルレックとか、いろんなデザイナーと話してみても、みんな言うことは同じで「アイデアが出なくなったらおしまい」だと。そこから抜け出す方法はないから、その予兆を感じた瞬間に別の方向に行けばいいという。