選んで、買って、深く知る。ミュージアムグッズの魅力。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

選んで、買って、深く知る。ミュージアムグッズの魅力。

『カーサ ブルータス』2021年9月号より

センスや遊び心溢れるミュージアムグッズ。そこには陰で奮闘する学芸員や研究者の存在が。知られざる魅力を教えてもらいました。

仙台うみの杜水族館《こけし うみの三姉妹》
東北の伝統工芸と水族館がタッグを組んだグッズも並ぶ。人気は、仙台の〈こけしのしまぬき〉とコラボしたかき、いくら、ほやのこけし。削り出し、研磨など職人の技が光る。各2,200円。
21_21 DESIGN SIGHT《21_21トートバッグ》
安藤忠雄設計の館内のコンクリート壁をテキスタイルにしたバッグ。持ち手の長さや形、大きさすべてを一からオリジナルで製作。コストも労力もかけた妥協なき逸品。2,970円。
東京都庭園美術館《オリジナルマグネットバッジ》
アールデコ様式の建築の魅力を伝える商品が豊富。バッジは踊り場の照明、手すり装飾、第2階段の丸窓のデザインを模したもの。館内の意匠の細部に注目したくなる。各680円。
雑貨から食品まで、趣向を凝らしたグッズが、見るものを魅了するミュージアムショップ。

「ミュージアムを映画にたとえるなら、ショップはそれを総括し、余韻に浸って楽しめるエンドロールのようなもの。エンドロールが映画の一部であるように、ショップも作品展示の一環です」

そう話すのは、『ミュージアムグッズのチカラ』の著者で、ミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美さん。各グッズは、単なる「おみやげ」にとどまらない。ミュージアムが伝えたいメッセージが色濃く反映されているという。

「グッズは文化の保護や継承といったミュージアムの使命を果たすためのメディアでもあります。各ミュージアムの歴史や収蔵品、研究から何を伝えたいか、何を大事にしているかという姿勢が形に落とし込まれています」
京都国立博物館《京都国立博物館 名品おりがみ》
尾形光琳の『竹虎図』や唐時代に作られた『三彩馬』など貴重な収蔵品6種を再現できる折り紙。売り上げの一部が寄付され、作品に親しみながら、京博の文化財保護に貢献できる。825円。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館《ハッピ》
美術館のグッズ開発には猪熊自らが参加。このハッピは、自身の卒寿祝いにデザイン。背中に大きな顔が、襟元に「90祭」の文字が配された、遊び心溢れる晩年の作品。3,850円。
中津市歴史博物館《石垣琥珀糖》
九州最古の中津城の石垣を琥珀糖で表現。学術的に正しい積み方を再現すべく、半年以上試作を繰り返した商品。以前、取り壊しの危機に陥った石垣の継承の重要性も伝えている。1,000円。
建物の意匠に焦点を当て、緻密なディテールでその魅力を伝える逸品や、収蔵品や標本の保存の重要性を伝えるもの、その土地の伝統工芸と結託して地域性を打ち出しているものなど、託されたメッセージはさまざまだ。

さらに、商品化に至るまでには長い道のりが。学芸員が学術的な整合性を綿密に検証する必要があり、完成までに数年の歳月を費やすものも。ショップに置かれているグッズのひとつひとつは創造力と飽くなき探究心の賜物なのだ。

「グッズの持つ背景に想いを馳せることで、ミュージアム巡りがより一層奥深い体験になるはずです」
『ミュージアムグッズのチカラ』
かわいいものからマニアックなものまで全国の美術館・博物館からセレクトしたおすすめのグッズを紹介。各グッズのこだわりやスタッフのインタビューによる開発秘話も。国書刊行会/1,980円。

おおさわなつみ

北海道大学大学院で博物館経営論をベースとしてミュージアムグッズの研究に取り組む。会社員を経て、ミュージアムグッズ愛好家として活動中。
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